• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

移民博物館の比較研究:国の多様性を展示する意義と課題

研究課題

研究課題/領域番号 23K01807
研究機関関西大学

研究代表者

酒井 千絵  関西大学, 社会学部, 教授 (30510680)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード国際移動 / エスニシティ / 博物館 / 公共教育
研究実績の概要

本研究では、1990年代以降、移民の生活やホスト社会への社会統合、あるいは自国から国外へ移住していった人々について考える博物館の開館が相次いだ欧米諸国と、相対的に均質イメージの強かった日本で近年注目されている移民の博物館を比較する。博物館の展示や、場を活用した教育や文化活動を通じ、移民をはじめ多様な文化的背景を持つ人々が作り出す拠点として、博物館が持つ可能性と課題を検討する。
本年度は、国内外の博物館を訪問し、その展示内容や理念に関する資料を収集してきた。国や地方政府など、公的機関が設置・運営する博物館、移民やエスニック・マイノリティが運営する博物館、出移民を対象とする博物館と入移民を扱う博物館など、いくつかの対立軸をたてて、博物館の内容を比較した。たとえば日本では、2020年代以降複数の都市で開館した在日コリアンの歴史と現状を扱った2つの博物館(ウトロ平和記念館、大阪コリアタウン歴史資料館)を訪問した。前者は、居住地域からの強制退去という歴史を経て、日本や韓国からの支援の広がりで状況を打開し、人権の重要性を提示する場となっている。また後者は、韓国ポピュラーカルチャーの人気が「コリアタウン」への観光客を惹きつけたことで、埋もれがちな在日コリアンの歴史を教える場になっている。在日コリアンについては、韓国・仁川にある「韓国移民史博物館」でも特別展示が行われていた。
また、北海道で2020年にオープンしたアイヌの民族文化と歴史を展示するウポポイを訪問したが、その前に訪問したシドニーやメルボルンの先住民族文化への言及と比較することができた。また、オーストラリアでは、エスニック・マイノリティ集団が個別に解説する博物館の他に、包括的に移民現象を扱う博物館が作られており、日本との相違を検討した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2023年度は、国内では北海道(アイヌ)、京都(ウトロ)、大阪、オーストラリア、韓国、和歌山、シカゴなどで、複数の博物館を訪問することができた。調査結果は写真やフィールドノーツに整理し、今後の分析に役立てる予定である。

今後の研究の推進方策

2024年度以降は、さらに博物館や美術館の展示内容や理念に関する調査データを収集し、整理して、ウェブサイトに公開する。また研究成果を論文や学会報告によって講評する。

次年度使用額が生じた理由

2023年度は、コロナ禍で研究機関を延長した別の研究を並行して行っていたため、海外出張ではなく国内での博物館展示の分析を中心に行った。そのため、研究費用の一部を次年度に繰り越した。次年度は、ヨーロッパおよびアメリカでの博物館を訪問し、研究者や運営者への聞き取りを実施予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 備考 (1件)

  • [備考] 移民・多文化主義をテーマにした博物館やその展示

    • URL

      https://wps.itc.kansai-u.ac.jp/chiesakai/thinking-about-our-globalizing-society/research/migration-museum/

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi