研究課題/領域番号 |
23K01893
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
永野 聡 立命館大学, 産業社会学部, 准教授 (80609149)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 60歳からの人生ゲーム / Advance Care Planning / 対話型アプローチ / 人生データ / 日本 / 米国 |
研究実績の概要 |
・本研究は、対話型アプローチ(※1)で高齢者一人ひとりの人生データ(※2)を収集し、この人生データをもとに、各テーマで類型化(居住歴、居住環境、職業歴、社会的ネットワーク等)を図り、医療従事者や研究者と連携してACP(Advance Care Planning)の高度化を図る事を目的とする。本研究の対象地は、超高齢化社会の先進国である日本(志摩市、京都市、湘南国際村)とACPの先進国でもある米国(ボストン市、サンフランシスコ市、サンシティ)とする。超高齢化社会の先進国である日本と、ACPの先進国である米国を通し、高齢化というグローバルイシューに関し、解決策を示す点において学術的独自性がある。また、日米における多様な社会背景を各テーマで分析するという点に創造性がある。研究期間は、【フェーズⅠ:人生データの収集<テーマ1:インナーシティエリア[期間:2023年4月から2024年1月]><テーマ2:高齢者支援が充実したエリア[期間:2024年2月から2024年11月]><テーマ3:高齢者コミュニティに特化したエリア[期間:2024年12月から2025年9月]>】と【フェーズⅡ:日米の精緻なACPの構築に向けた各種方策の提示(期間:2025年10月から2026年3月)】の三ヶ年とする。
・本研究では、用語の定義を以下に定める。 (※1)対話型アプローチ:調査員が質問者(司会者)や伴走者となり、被験者(個人もしくはグループ)に対して、ワークショップやインタビューを実施するアプローチ。 (※2)人生データ:一人ひとりのこれまでの人生とこれからの人生に関して記述したデータ。とりわけ、どのような最期を迎えたいのか、看取りに関する点等を重要視する。「FIVE WISHES(5つの願い)(参照:https://www.fivewishes.org/)」の内容も加味したものとなっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)【フェーズⅠ:人生データの収集】に関して ・<テーマ1:インナーシティエリア>ボストン市および京都市の基礎情報(社会階層、所得層、年金受給層等)を収集した。加えて、高齢者を対象とし対話型アプローチを実施した。<テーマ2:高齢者支援が充実したエリア>志摩市の基礎情報(地区別高齢化率、医療介護施設の特性等)を収集した。加えて、高齢者を対象とした対話型アプローチを実施した。 (2)その他事項 ・当初計画の想定にはなかったが、2023年8月に立命館大学衣笠総合研究機構とMIT Age Labとの間で、「Academic Exchange Agreement」を締結するに至った。このAgreementにより、研究と教育に関して、教員レベル・研究員レベル・学生レベルでの連携を取る体制が構築された。具体的な成果として、対話型アプローチの重要なツールとなる「60歳からの人生ゲーム」の医療に特化した新しいバージョンが制作された。この新しいゲームを用いてボストンと志摩市でワークショップを実施できた事は大きな成果となった。 ・2024年1月より、MIT Media LabのVisiting Scientistも本研究に協力する体制が整った。このVisiting Scientistの紹介により、Harvard Law SchoolのDistinguished Fellowも本研究に協力する事となった。米国を代表する2つの著名大学より研究者が加わる事で研究が大きく進展する可能性が高まった。 ・本研究の成果発信の一環として、2024年3月22日(金)に、オンラインシンポジウム(Zoom Webinar)を実施した。シンポジウムでは、MIT Age Lab 所長より本研究の展望に関するコメントも寄せられた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)【フェーズⅠ:人生データの収集】に位置づく<テーマ2:高齢者支援が充実したエリア><テーマ3:高齢者コミュニティに特化したエリア>の対象地であるサンフランシスコ市、サンシティ、湘南国際村に関して、人生データの収集を確実に遂行する事を目指す。とりわけ、日本国内においては、人生データの収集数を増やすように関係各所との調整を行う。様々なバックグラウンドを持つ地域の高齢者の人生データを取得し、精緻なACPを構築するため、今後、研究対象地域を増やす事も想定している。 (2)【フェーズⅡ:日米における精緻なACPの構築に向けた方策の提示】に関しても、前倒しで実施できないか検討を深める。また、2024年1月より本研究に協力をしてくれているMIT Media LabのVisiting Scientistは、専門がデータサイエンスであり、本研究の人生データに関する分析考察においては、高度かつ精緻なアウトプットを期待している。 (3)その他事項 ・本研究の成果発信の一環として、2024年9月7日(土)に、オンラインシンポジウム(Zoom Webinar)を実施する予定としている。シンポジウムでは、MIT Age Labのメンバーからの基調講演を予定している。 ・米国西海岸におけるネットワークを強化するため、早々に渡米して、関係者との連絡調整を図る。新たな連携先(大学、研究所等)を開拓する事も想定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費計算の確定が定まらず残額(48,620円)が発生した。残額に関しては、旅費や消耗品(コピー用紙、トナー)等に充当する予定である。
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備考 |
2024年2月、IAUD国際デザイン賞銀賞、一般財団法人国際ユニヴァーサルデザイン協議会、タイトル:高齢者が自分らしく人生を創造できるプロジェクト
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