研究実績の概要 |
麹米503g、黒糖720gを用いて、黒糖焼酎醪を4L規模で仕込み、30℃の水浴中で発酵させた。発酵は順調に進行し、16日で発酵は終了した。得られた醪を2つに分けて、減圧蒸留器及び常圧蒸留器にて蒸留を行った。減圧蒸留は醪温度が50~55℃で制御した。常圧蒸留は92℃付近で沸騰が始まり、99℃付近で蒸留が終了した。減圧蒸留焼酎0.8Lと常圧蒸留焼酎0.5Lを得た。 これを、2ヶ月間ほど貯蔵しガス成分(主にアルデヒド類と硫黄化合物)が自然に抜けた後、アルコール度数を25%になるように脱塩水で希釈してた。これにより不溶化した脂肪酸エステルなどを3μmのメンブランフィルターで濾過することで、透明な焼酎を得た。これを、ヘッドスペース対応のGCMSにて揮発成分を分析した。 その結果、常圧蒸留焼酎のみに検出される13成分、減圧蒸留焼酎のみに検出される成分は無く、そして共通の成分31成分を同定した。甘香を特徴とする成分として、クロトン酸エチル、フェニル酸エチル、フルフラール、2-メチルブチルアルデヒドが検出された。また、フルーツ用の甘味を特徴とする成分として、酢酸オクチル、イソ酪酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミルなどが検出された。 それぞれの成分について、5点検量線を作成し濃度求めた。クロトン酸エチル、フェニル酸エチル、フルフラール、2-メチルブチルアルデヒドは、常圧焼酎でそれぞれ0.61, 2.08, 52.9, 24.6μg/L、減圧焼酎で0.25, 1.74, 0.0, 0.0μg/Lであった。イソ酪酸エチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミルは常圧焼酎で7.75,8.87,140μg/L、減圧焼酎で2.27,1.55,1.59μg/Lであった。
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