研究課題/領域番号 |
23K02038
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研究機関 | 青森県立保健大学 |
研究代表者 |
七島 直樹 青森県立保健大学, 健康科学部, 教授 (80333730)
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研究分担者 |
二瓶 賢一 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10307209)
堀江 香代 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (30626825)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | カシス / フィトエストロゲン / エストロゲン受容体 |
研究実績の概要 |
植物中にはエストロゲン活性を有する分子が存在し、フィトエストロゲンと総称される。これまでに我々はカシス抽出物はフィトエストロゲン作用を有することを見出しており、その候補分子としてリグノイドの一種(化合物A)を見出している。しかしながら、化合物Aの標準物質は市販されていない。そこで、本研究では、化合物Aを有機合成し、そのフィトエストロゲン活性を評価した。 エストロゲンに依存して増殖するMCF-7細胞に化合物Aを添加し、5日間培養後の細胞数を計測すると細胞は有意に増加した。また、この増殖はエストロゲン受容体阻害剤の添加によって抑制された。同様にエストロゲン受容体が発現していないMDA-MB-231細胞を用いて培養後の細胞数を計測すると増加は認められなかった。化合物AをMCF7に添加して24時間後に全RNAを抽出し、リアルタイムPCR法により遺伝子の発現を解析した結果、エストロゲン受容体の下流遺伝子として知られているTrefoil Factor 1、カテプシンDおよびプロゲステロン受容体の発現が亢進した。また、エストロゲンの投与によってアルカリホスファターゼ(ALP)の発現が誘導される子宮内膜がん・Ishikawa細胞に化合物Aを投与してALPの活性の変化を測定したところ、ALPの活性は亢進したが、エストロゲン受容体阻害剤を添加するとALP活性は抑制された。 以上の結果より、有機合成された化合物Aはエストロゲン受容体を介してフィトエストロゲン活性を示すことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化合物Aのフィトエストロゲン活性の評価は予定通り進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
競合法を用いた化合物Aのエストロゲン受容体への結合能試験やIn silico解析によるドッキング解析を行い、化合物Aのフィトエストロゲン作用の評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
マウスを用いた病理学的評価には至らなかったため、翌年度はこの評価を行う予定である。
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