研究課題/領域番号 |
23K02108
|
研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
田中 里佳 三重大学, 教育学部, 教授 (20839146)
|
研究分担者 |
高野 和子 明治大学, 文学部, 専任教授 (30287883)
山崎 準二 学習院大学, 文学部, 教授 (50144051)
栗原 崚 学習院大学, 文学部, 助教 (60965606)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 教師教育者 / 学校現場の教師教育者 / 教師教育者の資質能力 / 教育実習 / 教員養成 / 英国の教員養成 |
研究実績の概要 |
本研究においては、(A)文献研究、(B)教師教育者を対象とするインタビュー調査、(C)教育実習生を対象とする調査(質問紙調査・インタビュー調査)、(D)英国における教師教育者への調査、に取り組んでいる。 (A)文献研究については、英国の教員養成の変化を政策との関連から整理し、教師教育者の位置づけ・期待されている役割、及びその資質能力の育成について、大学における(学術的な)研究がどのように関与しているかについての考察を行った。また、日本における教師教育者に関する先行研究検討から、特に、教師教育者の役割とその変化に着目し、この知見を活かして教育実習生への質問紙調査用紙を作成し、2024年度実施の予定であった(C)教育実習生への質問紙調査を2023年度に実施した。調査結果への考察を深め、指導を受ける教育実習生の側から、教師教育者の資質能力についてを2024年度に学会にて報告する予定である。 (B)教師教育者を対象とするインタビュー調査については、教育実習生を担当した教師教育者、その指導を受けた実習生、実習校の学校長の3者に対してのプレ調査を実施した。教師教育者の教育実習生に対する指導観及びその具体的な内容とともに、その指導観と指導方法がどのようにして形成されていったのかについての分析を行った。また、教育実習生への調査結果からは、担当であった教師教育者の指導以外にも学校長を中心として醸成されていると思われる学校文化が、直接的・間接的に教育実習生の指導観や子ども観に影響を与えていることが見出された。同時に、学校長が教師教育者を育てる行為を行っていることも教育実習生への調査結果から見出された。こうした点から、今後の(B)教師教育者を対象とするインタビュー調査については、教師教育者・実習生・学校長という3者への調査を計画し、3者から得られたデータを総合的に分析するという方向性を定めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、①教師教育者(実習指導者)の側からの、自身がとらえる資質能力、その中身と形成プロセス、および、その形成のための諸条件の解明、②指導を受ける教育実習生の側からの、教師教育者に必要とされる資質能力の解明、③研究を基盤とする大学が実践現場の教師教育者の資質能力の育成に行い得る直接的・間接的貢献の解明、を目指している。 研究1年目の2023年度においては、①の教師教育者へのプレ調査実施によって、自身がとらえる教師教育者としての資質能力の中身とその形成プロセスについて、協力者2名からではあるが分析することができた。またその諸条件についても、学校長の関与が今後の調査に対する1つの重要項目としても見出されており、次年度からの本格調査に向けての調査項目を確定することができている。②については2024年実施計画であった教育実習生への質問紙調査を実施することができ、2024年度に学会にて報告するための準備が整いつつある。当初の予定よりも早めて調査を実施したことによって、この調査結果を活かして次の調査設計(2024年度実施予定としている教育実習生へのインタビュー調査)を行うことができるようになった。③については、当初から研究期間4年間の3年目後半から①②の調査結果をふまえて本格的に行うことを計画しているため、おおむね当初の計画通りに進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
1点目は、教師教育者へのインタビュー調査を本格実施する。その際には、その指導を受けた教育実習生、実習校の学校長への調査も行い、教師教育者がとらえるその資質能力の実相を多角的に明らかにする。また、その資質能力の育成の過程と影響を与えたモノ・コトを抽出する。2点目は、教育実習生単独へのインタビュー調査を実施し、指導を受ける側から具体的なエピソードを聞き取ることによって、教師教育者の資質能力の実相を明らかにしていく。3点目は、日本・英国の教師教育者に関する先行研究を深めたうえで、英国の教師教育者へインタビュー調査を実施し、1点目・2点目の日本における調査結果との比較検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2024年度に英国調査を予定しているが、円安の状況と、2024年度からのインタビュー調査の本格実施に向けて、経費削減を試みたことによるものである。その1点目は、インタビュー調査結果の文字おこしに関して、2名分は当初予定通り業者に依頼したが、それ以外は有料ソフト等を試し、安価に抑える方策を探ったものである。2点目は、教育実習生への調査を、質問紙からウェッブへと変更して実施し、当初、計上していたデータ入力費を削減したものである。
|