研究課題/領域番号 |
23K02359
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研究機関 | 埼玉大学 |
研究代表者 |
松原 和樹 埼玉大学, 教育学部, 准教授 (60757805)
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研究分担者 |
服部 裕一郎 岡山大学, 教育学域, 准教授 (50707487)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 探究型学習 / 離散数学 |
研究実績の概要 |
本研究では、数学の探究型学習が予算や人材の問題から一部の研究開発学校の取り組みに偏る傾向があることに着目し、学習者を選ばない探究型学習支援システムの構築を目指し、データベース機能と双方向的なコミュニケーション機能を伴ったWebサイト『離散数学探究型学習支援システムAIDMath』(Active and Inquiry-based Discrete Mathematics および 支援(aid)+数学(math))を開発する。さらに、個々の探究型学習の様子を捉える理論的枠組みを構築し、多様な学校での実践を通して、その枠組みでのシステムの有効性について検証することを目的とする。 研究初年度(2023年度)においては、試行的実践のためのWebサイトを立ち上げるとともに、研究協力者の井上優輝氏の所属校で中学3年生を対象として、研究協力者の津島久美氏の先行研究をもとに、鳩の巣原理を題材とした授業実践(授業者:津島久美氏)をおこなった。その中で、学校現場におけるWebサイトのデータベース機能の有用性が明らかになった反面、双方向的なコミュニケーション機能の活用困難性が課題として挙げられた。また、離散数学における探究型学習に適した種々の題材を収集し、サイトに組み込む準備を進めるとともに、各種学会発表を通して専門家との意見交換を適宜実施した。現状として、本研究の目指す多様な学校でのWebサイト活用を目指して、実践準備を整えることができ、探究心を引き出す提供方法,深い学びを促進する双方向的な支援機能についての課題を明確にすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述したように,研究初年度において,研究の中心的役割を担うWebサイトを立ち上げ、各種機能の試行錯誤を繰り返し、実践に向けた準備段階としてのWebサイトの基盤を整えることができた。また、離散数学における探究型学習題材の収集も順調に進めることができている。さらには、試行的な実践として、学校現場における授業実践を行うことができた。2024年度からは成果について随時学会発表をしていく予定であるが、それらに向けての情報収集も十分に行うことができている。これらのことから本研究課題の現在までの達成度としては「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
Webサイトのデータベース機能は引き続き充実化を図るとともに、題材の分類について検討し、探究型学習においてより活用しやすい情報の提示方法を模索する。一方で、双方向のコミュニケーション機能については、中学生・高校生・大学生を対象として開発と実践を進める。また、探究型学習の様子を捉える理論的枠組みの構築を目指す。特に、2024年6月には全国数学教育学会第60回研究発表会(奈良教育大学)で口頭発表を予定しており、数学教育関連の学会等での継続的な発表を通して、Webサイトの有用性に関する理論的な考察の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた資料整理等の作業補助、およびWebサイト開発・運営の作業補助の業務が3月末までに発生しなかった。また、Webサイト導入において当初予定していた業者への依頼について、より柔軟にサイトの利活用ができるというメリットを考慮した開発方法に方針転換したため、必要な費用発生のタイミングが次年度以降となった。いずれもWebサイト開発・運営に関わる費用を中心として、4月以降に順次執行していく計画である。
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