研究課題/領域番号 |
23K02488
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
河本 洋一 札幌国際大学, 観光学部, 教授 (50389649)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | ヒューマンビートボックス / カリグラフィ / 表現活動 / 音楽づくり |
研究実績の概要 |
コロナ禍により研究期間を延長していた『学校教育におけるヒューマンビートボックスの指導でのオノマトペの活用法の研究』(基盤研究(C):19K02799)の最終年度と重なったため、本研究は開始までに時間を要した。 本研究では、ヒューマンビートボックスの音をカリグラフィの技術を援用して視覚的に象徴化し、新たな融合的な表現を目指すべく研究を開始した。まず始めに、前回の科研費研究で試作したビートレカードを使い、音と視覚的な象徴との関係性について、傾向を見いだした。概要は、オノマトペの音象徴を仮に色や形状などとの関係性のマトリックスに整理し、カリグラフィの手法との関連について検討した。その結果、音象徴とカリグラフィの手法には規則性があることが示唆され、今後さらに検証を重ねていくことで、音象徴とカリグラフィの手法の統合を図ることが可能ではないかという展望をもつに至った。現段階ではまだこの規則性について明確に示すには至っていないが、今後追加実験を繰り返すことでデータを増やしていくという段階で1年目を終えた。 なお、ヒューマンビートボックスとカリグラフィとの融合という新しい表現とは、具体的にどのような表現なのかがまだ明確になっていない状況で、追加実験を行うことは研究の進展が非効率的であることから、先行研究の検索を海外にも広げ、実証実験の方法について改めて検討すべきである。単にヒューマンビートボックスとカリグラフィを融合させるという表現技法の可否の検証なのか、それともこの2つの表現形態の融合による新たな表現の可能性の検討なのか。この点をより明確にしたうえで研究を進めなければ、当初計画していた実施計画書に沿った研究とならない。 よって、今年度の研究実績は、研究の実施形態の見直しの必要性をあぶり出したと言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2つの研究課題が交錯していたこともあり、研究計画に不明確な部分があった。そのため、すでに終えている研究課題では新たな教材開発や商標登録、書籍化などが円滑に進んだが、本研究ではそもそもどのような研究課題でゴールをどこに設定するのかを見直すことが必要となってきた。2つの表現形態の融合の可能性の検討なのか、それとも2つの表現形態の融合させて新たな表現を創り出すのか。この点を明確にしないまま、現在に至っている。 先行研究の検索も不十分で、海外の研究実績にまで検索が及んでいないことも、研究の進捗状況を遅らせている原因になっている。そのため現在までの進捗状況は、先行研究及び関連研究の検索不足という点で、「やや遅れている」と判定した。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究及び関連研究の検索方法については、ヒューマンビートボックスに関する先行研究が少ない上、あったとしても発音構造や音響特性に関するものがほとんどである。そのため、先行研究が滞る可能性がある。また、カリグラフィと音の関係性に関する先行研究も国内ではないため、海外の研究実績を収集することにする。 次に、ヒューマンビートボックスとカリグラフィの関連性については、前回の科研費研究である程度方向性が見えているので、これを融合させた新たな表現とは何か、また、融合させることによってどのような効果が生じるのかの実験計画を立てることに着手する。 この実験は、確実性の高い予想がありそれを証明するための実験だけではなく、どのような結果となるかが予想できない実験も想定される。そこで2つの表現形態の特性を改めて詳細に整理し、それらの特性をマトリックス化し、どのような融合が予想されるかを可能な限り事前に把握しておきたい。 また、本研究は確定的なゴールが定まっておらず、実験結果によって様々な展開が可能である。ある程度実験結果(表現結果)がまとまった段階で、発表の機会を設け第三者からどのように受け止められるかも確認しながら実験を進めていく。教育的効果、芸術的効果、社会的効果など、様々な効果が期待できると予想されるため、実験に際しては可能な限り写真だけでなく動画でも記録を残すようにする。 なお、今後の研究に際しては、融合的な芸術表現となることが予想されるため、ビートボクサーだけでなく、絵画やデザインのアーティストの知見や技術的な協力を得ながら進めていく。また、実際に一般の方々に体験してもらい、どのような効果が期待できるのかなども合わせて調査を進め、遅れた研究を予定していたスケジュールにでるだけ戻していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症により遅延していた前回の科研費研究課題と研究期間が重なってしまい、本研究の研究支出が当初予定した内容よりも少なかったため。
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