研究課題/領域番号 |
23K02524
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安部 有紀子 名古屋大学, 教育基盤連携本部, 准教授 (30553416)
|
研究分担者 |
蝶 慎一 香川大学, 大学教育基盤センター, 准教授 (50781548)
日暮 トモ子 日本大学, 文理学部, 教授 (70564904)
|
研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
|
キーワード | 高等教育 / 学生支援 / コ・カリキュラム / 統合的プログラム / 学習成果 |
研究実績の概要 |
米国高等教育において1980年代半ばに起きた学習者中心主義の大学教育への転換の影響により、正課教育の要素を組み込んだコ・カリキュラム(co-curricular)のプログラムは、米国学生支援において急速に拡大している。同時に、アカウンタビリティ思想の高まりにより、学生支援においても学生の学習成果を基盤とした質保証として、実践者自身が改善サイクルを実施するためのアセスメント活動が必須の課題となっている。 当該年度においては、米国高等教育において、過去30年において急速に取り組みが拡大しているコ・カリキュラム等の包括的な学習経験を戦略的にプログラム化した学生支援活動において、学生の学習や、期待される学習成果がどのように捉えられているのか、その実態を、文献調査から明らかした。また、学寮プログラムならびに初年次プログラムに焦点を当て、そのプログラムの全米基準(CAS)より、コ・カリキュラムの学習成果の実態と共通する条件について明らかにすることを試みた。 コ・カリキュラムにおける包括的な学習経験の根底にある考え方は、学生の学習成果の向上と密接な関係にある「統合」の概念である。そのため、コ・カリキュラムの学習成果には、「実践経験」から得られるスキルや能力が含まれる。一方で、学習成果においても教室内外の活動や学習を「統合」することから、学問と社会生活、知力成長と汎用的能力の両側面の学習成果が望まれる。 本稿で検討してきた米国の学生支援における学習成果、その参照基準の変容を鑑みると、「統合された学習成果」を促進し、コ・カリキュラムの実践に象徴されるような正課教育と学生支援の両方を包含する学習のプログラムを計画・実施し、評価・改善していくには、正課教育と同等の質保証や、学生支援に適合したアセスメント が求められる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は研究テーマである学生支援におけるコ・カリキュラムの位置付けについて、「統合」の考え方とその学習成果の設定方法について、先行研究ならびに全米学生支援のプログラム基準を作成する評議団体であるCASにおける議論のプロセスを調査し、その結果を論文として発表した。 また、コ・カリキュラムのどのプログラムを詳細に調査していくかという点について、研究グループで検討した結果、コ・カリキュラムに関連するプログラムを複数並行して調査を進めていくことが決まり、次年度より調査を開始することになった。
|
今後の研究の推進方策 |
具体的なプログラムの調査を開始する。主にコ・カリキュラムの議論が進む米国と日本を含めた東アジアを対象とし、コ・カリキュラムの理論的枠組みと、学習成果の効果検証の状況を明らかにしていく。また、コ・カリキュラムの学習成果のうち、特に「実践的スキル」の獲得のプロセスを明らかにするとともに、学習成果達成のための効果的なプログラムの設計についても調査する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2024年度は入手済みの文献とオープンアクセスの先行研究によって論文執筆を行ったため。
|