研究課題/領域番号 |
23K02596
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
肥後 祥治 鹿児島大学, 法文教育学域教育学系, 教授 (90251008)
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研究分担者 |
衛藤 裕司 大分大学, 教育学部, 教授 (00284779)
有村 玲香 鹿児島国際大学, 福祉社会学部, 准教授 (20713689)
前野 明子 志學館大学, 人間関係学部, 講師 (30883516)
今村 幸子 鹿児島女子短期大学, 児童教育学科, 講師 (30912539)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 離島 / 持続可能性 / 保護者 / 支援システム構築 / 実践的研究 |
研究実績の概要 |
本年度の研究では、遠隔方式による三島に離島をフィールドとしたプログラムの展開とプログラムの効果を吟味する質問紙の開発とその妥当性の検証であった。 保護者支援システム構築を目指したプログラムの実証研究においては、離島三島(徳之島、沖永良部島、与論島)をwifiで同時につないだ遠隔コミュニケーションシステムで保護者支援プログラムおよび、支援者養成プログラムを実施することができた。保護者支援プログラムにおいては、3島で14名の参加者があり、そのうち12名から、質問紙調査等(KBPAC、BDI-2、養育態度尺度、最終アンケート)記入への協力を得ることができた。支援者プログラムでは、3島で39名の参加者と質問紙等(KBPAC、POMS2、最終アンケート)記入に関して27名の協力を得ることができた。これらの結果を整理して遠隔方式による保護者支援プログラムの展開の方法意義を課題を議論していく予定である。 また、このようなプログラムを評価するために必要となる質問紙の開発にも取り組んできた。今年度は、その試作質問紙の妥当性の検証の一環として特別支援学校の教員94名を協力者として調査を実施した。参加者を小学部、中・高等部の2群に便宜上整理し2群の得点等の比較をおこなった。また、この試作質問紙の特徴である誤答分析の可能性についても吟味をおこなった。次年度においては、この質問紙の実用化について研究を進めていく予定である。 上記2つの成果を次年度前半までに論文化し、本年度の研究成果について公表をおこなうこととしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度に予定していた離島三島(徳之島、沖永良部島、与論島)をwifiで同時につないだ遠隔コミュニケーションシステムで保護者支援プログラムおよび、支援者養成プログラムを実施することができた。 プログラムは、5回(1回2時間)で構成され、対象の離島(徳之島、沖永良部島、与論島)の研究のカンターパートに、募集、場所の設定、研究に必要な資料や情報の収集を依頼するなどして各島でのプログラム実施のマネージメントをおこなってもらった。プログラム参加者に対しては、プログラム初日の開始時点このプログラムの実施が、保護者支援システムの構築の実践的研究の一環であり、プログラム参加者にはその前後での質問紙やアンケート調査に協力をお願いしたい旨を伝えて、同意書に署名をしてくれた参加者に記入を依頼し、終了した時点でプログラム(保護者用、支援者用いずれも)を開始する形で実施した。 台風の2度の接近があったため、5月末から7月末までに終了する予定であったプログラムの実施スケジュールは、6月初頭から9月初頭にずれ込んだが、予定していた5回のプログラムを実施することができた。 5回のプログラム終了後、プログラムフォローアップとして、離島三島を直接訪問し、2つのプログラムの参加者を対象に直接の対面方式で集団面接を実施した。また、各島のカンターパートの要請に応じて、他の島民向けの講演会等を実施した。フォローアップの設定時期が、離島の農繁期と重なったため、参加者の減少がおこったが、次年度のフォローアップの設定時期にかんしては、これらの要因をカンターパートと話し合いプログラム参加者が多く参加できるような状況の設定が必要となると考える。
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今後の研究の推進方策 |
遠隔方式のコミュニケーションシステムを採用することで、三島の離島の住民が参加できる保護者支援プログラムと支援者養成プログラムを実際の対面方式による実施と比較して低コストで実施することができた。また、予定外の台風等の気象条件の悪化に対してもプログラムを中止するといった運営から逃れることができたことは、画期的であった。 次年度もこのスタイルでの実施をおこない、三島(徳之島、沖永良部島、与論島)において、プログラム経験者と支援者養成プログラムの経験者を積み上げていくことが、保護者支援システム構築の上で当面の課題になる。システムを構築し、運営するためにもまずは参加者、経験者を増やし、このプログラムが実施されていることを認知してもらいながら、保護者の育児の負担感をサーポートしていくことが研究の目的上大切な戦略となる。 コミュニティーにおける特別な支援ニーズへの理解の状況によっては、保護者がなんらかのスティグマを感じる状況があるかも知れない。このことで保護者プログラム参加への抵抗感がある保護者がいるかもしれない。このことに関しては、各島のカンターパートと綿密に話を進めながら、対応方法を議論し、それに対する対応方法等を吟味していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の研究費の支出は計画通りおこなわれているが、共同研究者の努力でコストダウンがはかられたことにより、予定より旅費のコストが低めに抑えられたことと、物品費としての執行を行なわなかった分担研究者もいたため、残額が積み上がったと思われる。次年度は、本年度収集した資料やデータの分析を行うなどの追加された研究活動があるため、次年度の配分額と繰り越された研究費を合算することで、研究遂行の幅が広がったと思われる。
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