• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

小児のナラティブ産出におけるマクロ構造発達の機序の解明と、アセスメント手法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K02622
研究機関聖隷クリストファー大学

研究代表者

大原 重洋  聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 教授 (90758260)

研究分担者 佐藤 綾華  聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 助教 (20974265)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードナラティブ / 言語発達 / 典型発達
研究実績の概要

(1)目的:典型発達段階にある幼児・学童における絵図版のナラティブ産生について、マクロ、ミクロの両構造の発達順序性を明らかにする。
(2)対象:典型発達段階にある幼児・学童98名(年長16名、2年生33名、3年生21名、4年生13名、5年生6名、6年生8名)。
(3)方法:①ナラティブ採取;内容再生法:図版(A)を呈示して読み聞かせ、内容質問(23問)により理解を確認後、口頭での再生(復唱)を求めた。自発産生法:図版(B)を呈示して、口頭での自発産生を求めた。②評価方法:物語文法(Stein & Glenn,1979)を一部改変(大原・廣田, 2022)し、問題解決型ストーリーの構成要素(場面・登場人物、危機発生、解決の試み、物語の締めくくり)を点数化した(計24点、%に換算)。ミクロ構造:自立語・付属語の総数を計上した。
(4)結果:年長児は発達に個人差が大きく、29%と遅滞し、2年44%、3年に57.4%に順次改善し(F(4,93)=20.1, p<0.01)、発達的にプラトーに達し、4年64.2±6.9%、5&#12316;6年66.8±10.7%に至った。年齢は、マクロ構造の発達と正の相関を認め(r=.66; p<0.01, 95% CI =[0.53, 0.76])、マクロ構造(x)に基づいてナラティブ発達年齢(y)として参照できることを確認した(y=0.76x+65.4, p<0.01, 自由度調整済R2=0.43)。
(5)考察:年齢発達に従いナラティブ構成能力の発達を認め、幼児期からの介入の必要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究の進捗は概ね順調であるが、以下の点について、次年度以降、継続した研究が必要である。
(1)本研究で示された回帰式は、自由度調整済みの決定係数が0.43と低く、これは小学1年生や中学生のデータが欠如しているためと考えられる。そのため、これらの年齢層を含むデータを追加し予測精度を向上させる必要がある。現在、小学3年生で発達的プラトーに達しているが、対象を拡大することで、高学年や中学生の発達変化を把握し、より広い年齢層に対する評価が可能になると考えられる。
(2)本研究で用いたマクロ構造の評価方法は手続きが複雑であり、臨床適用を進めるためには、手順を簡略化し、評価基準を明確に示すマニュアルの整備が必要である。
(3)ナラティブの構成要素について、様々なレベルでの存在が明らかになった。例えば、日本語の談話では、主語や対象が省略されていても、行為が示されている限り、連続したストーリーとして成立することがある。そこで、構成要素の存在とその明示性の程度を区別して評価する必要が生じた。

今後の研究の推進方策

今後の研究は、以下の通り進める予定である。
(1)小学1年生、中学生を中心にナラティブデータの追加採取を行う。
(2)各構成要素の評価基準を見直し、評価者間の一致率を高める。
(3)マクロ構造評価について、構成要素における明示性のレベル(行為の担い手、行為の対象)を検討する。

次年度使用額が生じた理由

今年度、大学付属機関でナラティブデータを採取したため、謝金が発生せず、次年度使用となった。次年度は、追加データの採取に関わる費用と、テキストデータの分析のための機材が必要になる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 小児のナラティブ産出におけるマクロ・ミクロ構造の発達変化と、聴覚障害児への評価視点の検討2023

    • 著者名/発表者名
      大原重洋, 佐藤綾華, 廣田栄子
    • 学会等名
      第68回 日本音声言語医学会総会・学術講演会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi