研究実績の概要 |
(1)目的:典型発達段階にある幼児・学童における絵図版のナラティブ産生について、マクロ、ミクロの両構造の発達順序性を明らかにする。 (2)対象:典型発達段階にある幼児・学童98名(年長16名、2年生33名、3年生21名、4年生13名、5年生6名、6年生8名)。 (3)方法:①ナラティブ採取;内容再生法:図版(A)を呈示して読み聞かせ、内容質問(23問)により理解を確認後、口頭での再生(復唱)を求めた。自発産生法:図版(B)を呈示して、口頭での自発産生を求めた。②評価方法:物語文法(Stein & Glenn,1979)を一部改変(大原・廣田, 2022)し、問題解決型ストーリーの構成要素(場面・登場人物、危機発生、解決の試み、物語の締めくくり)を点数化した(計24点、%に換算)。ミクロ構造:自立語・付属語の総数を計上した。 (4)結果:年長児は発達に個人差が大きく、29%と遅滞し、2年44%、3年に57.4%に順次改善し(F(4,93)=20.1, p<0.01)、発達的にプラトーに達し、4年64.2±6.9%、5〜6年66.8±10.7%に至った。年齢は、マクロ構造の発達と正の相関を認め(r=.66; p<0.01, 95% CI =[0.53, 0.76])、マクロ構造(x)に基づいてナラティブ発達年齢(y)として参照できることを確認した(y=0.76x+65.4, p<0.01, 自由度調整済R2=0.43)。 (5)考察:年齢発達に従いナラティブ構成能力の発達を認め、幼児期からの介入の必要性が示唆された。
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