研究課題/領域番号 |
23K02681
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
森本 康彦 東京学芸大学, 大学教育研究基盤センター機構, 教授 (10387532)
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研究分担者 |
宮寺 庸造 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (10190802)
北澤 武 東京学芸大学, 教育学研究科, 教授 (80453033)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 教育工学 |
研究実績の概要 |
2023年度に行った研究とその成果は、以下の通りであった。 (1)各サブシステムに実装する支援方法に関する調査検討 国内外の研究や実証を調査し、本研究に活かせるものを抽出した。最新のAI技術、特に、学習データを活用した機械学習による学習・評価支援に関する予測モデルの開発に関する研究や、生成AIの教育活用に関する実践や研究について行った。生成AIは2023年度に急に登場し、この夏には、文部科学省から「初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」が出され、実践的な研究が一斉に開始された。我々も、入手可能なすべての情報を整理し、本研究課題に生成AIをどう活用すべきか、それが可能なのかについて検討を重点的に行った。 (2)各サブシステムにおける支援モデルの開発 各サブシステムに搭載する支援モデルついて検討した。(a)の「個別最適な学びと評価支援システム」と(b)の「協働的な学びと評価支援システム」の評価支援モデルにおいては、AIによる学びの振り返りの支援とeポートフォリオの活用によるモデルを開発した。特に、AIによる学びの振り返りの支援モデルに関しては、生成AIを用いて、振り返りプロンプトを学びの文脈にあわせて文章を適応的に変更することで、振り返りを支援するモデルを開発し、実践とその検証まで行った。また、学習者の振り返りの記述から、その学習者の資質・能力がどれほど育成されたかを同定するための機械学習予測モデルを開発し検証を行った。 (c)の「AI学習ガイド&コーディネーターシステム」に関しては、生成AIを活用した対話型エージェントによる学習ガイドとコーディネートのモデルを開発した。これについては、実装に向けた更なる検討が必要と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度に行った研究の現在までの進捗状況は、以下の通りであった。 (a)の「個別最適な学びと評価支援システム」については、教科横断的な長期にわたる学びをデザインし、その中での個人内評価の実施を想定している。2023年度は、開発した学習評価モデルをAIによる支援の部分を外して、実際に小学校と中学校で授業実践を複数行い、さらに、それらの検証を先行して行った。 (b)の「協働的な学びと評価支援システム」については,生成AIを活用した協働的な学びのモデルを開発し、ひとまず大学の授業において実践を行った。今後は、これに、(a)で開発した学習評価モデルを上手く組合せて、新たに協働動的な学びの評価支援モデルとして、これから研究を進めて行うことにする。なお、(a)と(b)に共通するAIを用いた学びの振り返りに関しては,別途プロトタイプシステムを構築し、支援の検証を行っている段階である。 (c)の「AI学習ガイド&コーディネーターシステム」は,AIエージェントによる支援モデルを開発しており、今後その検証に移っていく予定である。 (d)の「学習評価統合&成長見える化AIシステム」は、(a)と(b)の各システムの機能の一部として開発していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度、一部先行して学校現場で支援モデルの検証を授業実践を通して行ったが、それらを受け、さらに支援モデルの改善を行い、必要に応じて詳細なところまで再設計し、各サブシステムごとに実装、もしくは、既存システムやアプリケーションと組み合わせることで実現していく。 今後の研究の推進方策としては、計画通りに着々と進めて行くことが大切であると考えている。 また、研究の打ち合わせ等は、Web会議システムを使ったオンラインでの実施を基本に、柔軟に進めて行くことにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた主な理由は以下の通りである。 コロナ禍が明け、多くの先端研究の多くの論文がネットから閲覧、入手できるようになったこと、会議がオンラインで容易に行えるようになり、対面のミーティングのための無駄な移動時間や旅費を使わずに済んだことが上げられる。また、第1ステージの2024年度は、研究のための情報収集を行い、それら情報から各サブシステムの支援モデルを開発することであった。そのための情報機器等を物品費で購入する予定であったが、コロナ禍で購入した機器等がそのまま使えたので、それらを購入しなかったためである。 来年度は、本格的なシステム開発とそれを使った実践を行っていくため、それらのより効果的な実施に向け、これら予算を上手く使って行く予定である。
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