研究課題/領域番号 |
23K02914
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
芦谷 道子 滋賀大学, 教育学系, 教授 (70452232)
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研究分担者 |
伊藤 靖 関西医科大学, 医学部, 研究員 (00865769)
石崎 優子 関西医科大学, 医学部, 教授 (20411556)
山本 和美 関西医科大学, 医学部, 研究員 (30838149)
大平 雅子 滋賀大学, 教育学系, 教授 (40616190)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | マインドフルネス / 小学生 / ユニバーサル心理教育 / 心理的ケア / 効果評価 / MiSP / ドットブリーズ / 幼児 |
研究実績の概要 |
1.小学生を対象としたマインドフルネス・プログラムの導入と検証 中高生に対するマインドフルネス導入を試みる中で、プログラムのボリュームの大きさから学校導入が困難であることに直面してきた。そこで、当初予定していた小学生を対象としたプログラム Paus b:ポウズビーではなく、まずは小学校高学年から中学校にわたる移行期にあたる子どもを対象とした簡略版プログラム、. breathe:ドットブリーズの翻訳、普及に着手することとした。開発者である英国MiSP:Mindfulness in Scholls Project と連携のうえ、テキストとスライドの翻訳、日本の子どもに合ったイラストの差し替えを実施し、日本版テキストを完成させ、MiSPのサイトにアップした。 2. ケアを必要とする子どもたちへのマインドフルネスの導入と検証 児童自立支援施設にて生活する中学生5名を対象として、中高生を対象とするマインドフルネスプログラム .b:ドットビーを実施した。実施者は3名のドットビーティ―チャーであり、学校指導員の同席のもと、毎回60分、計10回のプログラム実施した。WEMWBS(幸福感尺度)、CES-D(抑うつ尺度)、POMS2(気分尺度)、子どもの強さと困難さアンケートの4つの尺度を用いて効果評価を行った。プログラムの途中で、心のケアに配慮した修正が多少必要となったが、全員が最後までプログラムを遂行することができた。本人及び学校指導者より、日常生活で落ち着きが増した、動揺した時にドットビーを心がけるようになり、生活に変化が起こった、といった肯定的な評価を得た。尺度の変化については分析を進めている。 3.幼児用マインドフルネス素材の作成と実践 マインドフルネス導入の要請が高い幼児期を対象としたマインドフルネス絵本の翻訳を行い、大学附属幼稚園で実践を行い、取材を受けて雑誌記事として掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定とは異なるプログラムとなったが、予定通り、小学生を対象としたプログラムの翻訳を終えることができた。ただし、導入したプログラムは小学生高学年を対象としており、小学生全てを対象としたものではないため、今後の展開については検討が必要である。 また、予定通り一つのフィールドで、ケアを必要とする子どもたちにマインドフルネスプログラムを導入し、効果評価を行うことができた。 さらに、予定していなかった幼児を対象としたマインドフルネス絵本を翻訳し、一つのフィールドで実践することができた。 以上より、概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.小学生を対象としたマインドフルネス・プログラムの導入と検証 今年度は、日本においてドットブリーズを実施できる講師を養成する。次年度以降、講師がそれぞれのフィールドでプログラムを実施し、複数フィールドでの効果評価を行う。さらに、全ての小学生を対象としたプログラムであるポウズビー、幼児を対象としたドッツについても、導入を検討する。 2. ケアを必要とする子どもたちへのマインドフルネスの導入と検証 今後は医療機関と連携し、心身症をもつこどもたち、不登校の子どもたちなど、さらにケアを必要とする子どもたちの対象を広げて、ドットビーやドットブリーズなどのマインドフルネスプログラムを実施する。 3.幼児用マインドフルネス素材の作成 さらに、幼児用の絵本や素材の作成を継続して実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
導入プログラムが変更となり、翻訳や吹き替えに必要な費用が減額されたため、次年度使用額が生じた。次年度新たなプログラム導入やフィールド実施において使用する予定である。
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