研究課題/領域番号 |
23K03092
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中川 征樹 岡山大学, 教育学域, 教授 (50370036)
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研究分担者 |
西本 哲 神戸医療未来大学, 人間社会学部, 教授 (80330520)
鳥居 猛 岡山大学, 環境生命自然科学学域, 教授 (30341407)
奥山 真吾 香川高等専門学校, 情報工学科, 准教授 (50290812)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 幾何学 / シューベルト・カルキュラス / ユニタリー鏡映群 / 対称関数 / トーラス同変コホモロジー / p-コンパクト群 / 旗多様体 |
研究実績の概要 |
現代的なシューベルト・カルキュラスは「複素グラスマン多様体のコホモロジーのシューベルト類はシューア関数により表される」という事実を雛形として,考察の対象である空間,コホモロジー論,対称関数等を様々な方向へ広げながら,現在でも活発に研究が進められている。本研究の第一の目的は,研究代表者である中川と成瀬弘氏により導入されたファクトリアルHall-Littlewood Q-関数を用いて,ユニタリー鏡映群G(r,1,n)に対応するp-コンパクト群X(r, 1, n)の等質空間である「一般ラグランジアン・グラスマン多様体」および「一般完全旗多様体」のトーラス同変コホモロジーの「シューベルト基底」を構成することである。今年度は,p-コンパクト群X(r,1,n)の等質空間である一般ラグランジアン・グラスマン多様体のトーラス同変コホモロジー環の代数的な対応物である環,およびトーラスの作用に関する局所化写像に対応する代数的局所化写像を考察し,この写像が単射であって,その像が,上記のファクトリアルHall-Littlewood Q-関数を特殊化したものを基底としてもつことを示した。さらに,成瀬弘氏の協力の下,G(r,1,n)の長さ関数やBruhat順序,ルート系を構成することができた。これらは従来から知られているものとは異なる新しいものであり,本研究の目的に適ったものとなっている。また,上記の結果およびIkeda-Mihalcea-Naruseの手法を利用して,一般完全旗多様体のトーラス同変コホモロジーのシューベルト基底に関する予想を立てることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コンパクトLie群のホモトピー論的類似物である「p-コンパクト群」およびその「等質空間」は空間の完備化・局所化を用いて定義される繊細な空間であり,その取扱いには多くの技術的な困難が伴う。そこで,今年度は,これらの空間およびコホモロジーの幾何的・ホモトピー論的考察に進む前に,代数的な対応物であるユニタリー鏡映群の二重余不変式環に関連する環,および代数的局所化写像を考察し,期待される結果が成り立つことを示すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度の研究により,ユニタリー鏡映群G(r,1,n)に対応するp-コンパクト群X(r,1,n)の等質空間である一般ラグランジアン・グラスマン多様体のトーラス同変コホモロジー環のシューベルト基底に相当するものを,ファクトリアルHall-Littlewood Q-関数を用いて構成することができた。これについては現在,論文にまとめている最中である。今後は,成瀬弘氏の協力の下,Ikeda-Mihalcea-Naruseの手法を利用して,X(r,1,n)の一般完全旗多様体のトーラス同変コホモロジー環のシューベルト基底に相当するものを構成することを目標に研究を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初,計画していたワークステーションの購入を次年度に見送ったため。
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