研究実績の概要 |
本研究では、遠方超新星の精密観測を行い、宇宙を加速膨張させている謎の暗黒エネルギーの正体に迫る観測データの解析を行っている。米国ハワイ島、マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡に搭載された広視野撮像装置(HSC)を使い、遠方宇宙の超新星を発見し、最遠方の超新星は赤外領域で最も明るくなるため、ハッブル宇宙望遠鏡を使い、地上からでは観測が困難な赤外線での精密測光追跡観測を行った。
最も時間を要したのはその後の母銀河の分光観測であり、共同研究者の協力により、世界中の大型望遠鏡、Keck, VLT, Gemini, AAT, GTC, DESIを使って分光データを収集した。超新星の較正には、母銀河の質量も依存することが知られており、母銀河の測光データを元に、質量と星生成率を導き出した。
また、精密観測を実現させるためには、測光の基礎となる標準星の精度を上げる必要があり、これらの観測も実施した。解析に必要なデータはほぼ揃ったので、現在は解析ソフトウェアの開発に取り組んでいる。 同時にこれまで蓄積されたデータを解析し、宇宙膨張が従来考えられてきた宇宙定数によるものではない証拠を得ることができた。我々のデータは、この発見に決定打を与えることができると考えており、他の観測手段とも連携して解析を進めていきたい。
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