現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
購入済みであった7コアのマルチコアファイバから中心のコアを含む三つのコアを選択して、それぞれのコアに入射する光波を異なる周波数(0kHz,50kHz,150kHz)のノコギリ波で位相変調することで周波数シフトさせた。これらをマルチコアファイバの出力側で合波した後に増幅器付きのフォトダイオードで干渉信号を測定した。干渉信号に対してうなりの周波数である50kHz,100kHz,150kHzを抽出するディジタルフィルタを施してそれぞれの周波数成分の位相を求めて合算することで幾何学的位相を計算し、偏光変動に対してほぼ理論式通りの非線形な変化を示すことが確認された。またマルチコアファイバに入射する偏光状態を調整することで非線形の度合いを調整することも可能であった。しかし、干渉信号は明瞭度が低く、雑音も多かったため得られた幾何学的位相にも雑音が多く今後の改善が必要である。 本手法はファイバの捩れを他の環境変化と独立に測定できることを特徴としているため、その検証も行なった。マルチコアファイバ周辺の圧力変化や温度変化は各コアに同じ位相変化や偏光変化をもたらすため幾何学的位相は変化せず、捩れはコア間に相対的な偏光変動を誘起するため幾何学的位相が変化する。実験ではマルチコアファイバを手で触れた時には幾何学的位相が変化せず、ファイバを捻った時に変化する様子を観測することに成功した。また、捻り角の大きさに比例して幾何学的位相が変化し、右回りの捩れと左回りの捩れに対して幾何学的位相が逆方向に変化することも確認できた。したがって幾何学的位相を利用した捻り計測の原理検証に成功したと言える。
|