研究実績の概要 |
本研究の目的は、(1)Li, Naや2価イオンからなる新規柔粘性イオン結晶の開発と(2)柔粘性結晶の発現機構の解明である。(1)に関しては、陽イオンがLiイオンからなる新規柔粘性イオン結晶を発見し、論文として報告した。 論文の概要:種々のサイズのクラウンエーテルを用いたところ、12-C-4とLi-TFSA塩の組み合わせが柔粘性結晶になることを固体NMRを用いて解明した。また、Na塩に関しては柔粘性イオン結晶にはならないが複雑な結晶構造を持つことも明らかにした。 目的(2)に関しては、計画通りアルキルアンモニウムを陽イオンにし、そのアルキル鎖にイソプロピル基を導入し、新たに6個の柔粘性イオン結晶を発見した。これまでハロゲン化物イオンが陰イオンの場合、柔粘性結晶にはならないか、なっても非常に高温であったが、イソプロピル基の導入で室温で柔粘性結晶になるハロゲン化物を発見した。これはイソプロピル基の遮蔽効果が効いていると考えられ、柔粘性結晶の新たな側面が見えてきた。この成果は第17回分子科学討論会で報告し、現在論文を執筆中である。
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