研究課題/領域番号 |
23K04836
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
高田 健司 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 講師 (10772171)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | バイオベースポリマー / ポリエステル / 高分子反応 |
研究実績の概要 |
本研究では、様々な構造の主鎖型桂皮酸系ポリマーの変形メカニズムを明らかにすること、およびそれを応用した新しい光応答材料の創製を目的とする。全体の実施計画として、①桂皮酸ユニットのポリマー末端導入によるマクロモノマー化、②桂皮酸グラフトポリマーの合成、③桂皮酸ブロックポリマーの合成、④ブロック/グラフトポリマーのミクロ相分離と光応答挙動の評価である。本年度は、「①桂皮酸ユニットのポリマー末端導入によるマクロモノマー化」のための桂皮酸官能基化マクロモノマーの開発を目指して、有機分子触媒(強酸/強塩基)を用いた重合、もしくは二重結合に対するクリック反応による末端に桂皮酸を有したポリマーの合成を行った。 ①p-クマル酸やm-クマル酸、カフェ酸などのヒドロキシ置換型の桂皮酸を官能基保護することで、重合の停止剤として末端官能基を検討した。重合の結果、これまでと同様に末端への桂皮酸導入は確認されたが質量分析等による定量化には至っていない。この結果を受け、リビング重合のみの検討では桂皮酸末端のポリマーを合成することが困難であると判断し、異なるアプローチでの検討も開始した。 ②上記と異なるアプローチとして、桂皮酸の二重結合へthiol-ene反応を行うことでアルキルチオールを側鎖に有する桂皮酸マクロモノマーの合成を検討した。Thiol-ene反応にあたり、光開始と熱開始の条件で検討を行った。その結果熱によるthiol-ene反応が有効であると判明し、今後は熱開始のthiol-ene反応により桂皮酸マクロモノマーの合成を検討していく。 これら検討は、桂皮酸ユニットを末端に配したグラフト高分子の合成につながり、桂皮酸に付加させる官能基により光応答性の制御を期待している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リビング重合の末端官能基化法を確立という分野は非常に煩雑な作業を必要とするため、重合の条件出しや、測定の条件出しなどに想定以上に時間がかかってしまった。また、得られる結果から官能基化率が低いことが予想されたため異なるアプローチによる桂皮酸官能基化に切り替えたことも進捗に後れをもたらしたと考えている。しかしながら、当該年度において条件が見出されつつあり、次年度以降はこの遅れを取り戻せると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた桂皮酸官能基化マクロモノマーを用いて、従来から光応答性のある桂皮酸と重縮合することでグラフトポリマー化の検証を行う。桂皮酸マクロモノマーは、これまでの結果からthiol-ene反応による合成が簡便であると述べたが、thiol-eneでは、官能基種が限られてしまうという将来的な問題も考慮されるため、引き続きリビング重合による官能基化の検証も行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、代表者の研究機関異動による研究の遅れが関係している。異動に伴う諸準備のために予算を使用するのではなく異動後に遅れた研究を補完するために当該年度の予算を次年度に繰り越した。使用計画としては、次年度に試薬やガラス器具などの諸消耗品などの物品の購入に充てる予定である。
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