研究課題/領域番号 |
23K05164
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
松島 憲一 信州大学, 学術研究院農学系, 教授 (30359731)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 普通ソバ / 在来品種 / 信州そば / 遺伝的集団構造 / MIG-seq |
研究実績の概要 |
「信州そば」のブランドでソバ産地として全国的に知られる長野県では,県内各地に古くから栽培されている在来ソバ系統が存在し,そのうちのいくつかについては地域で生産振興が行われている。このような長野県内の在来ソバ系統についての遺伝的な特徴づけを行い,その中でも,現在,栽培振興が盛んな「戸隠そば」および「入野谷在来」の在来特性が適切に継承されているのかを明らかにすることを目的として本課題は実施されている。初年度である2023年には,1950年代から現在までの幅広い年代に収集された長野県在来ソバ系統における遺伝的特徴マップの構築を目指した。これに向けて,農研機構遺伝資源研究センター生物資源ジーンバンクおよび長野県野菜花き試験場に保存されている様々な年代(1950年代~現在)に長野県内で収集された在来ソバ系統のうち21系統を供試し,次世代シーケンサーを用いてMig-seq法により,各系統のSNP(一塩基多型)等のDNA配列情報を収集し解析した。得られた解析結果を主成分分析により作製した散布図,すなわち遺伝的特徴マップを作製したところ,1961年に長野市戸隠で収集された「戸隠そば」(ジーンバンク保存系統)および1951年に佐久市中込で収集された「中込在来」(ジーンバンク保存系統)についてはそれぞれ,他系統と異なる分布をみせ,遺伝的な違いを遺伝的情報マップ上で表すことができた。しかし,その他の全ての在来系統についてはマップ上に一つの大きな集団としてまとまって分布し系統間の遺伝的な特徴を区別することができなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
発注していたMig-seqの解析が遅延したため、年度内終盤に結果を入手することとなったが、予定していた解析と遺伝的特徴マップの作製に至ったため、大きな問題は生じていない。
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今後の研究の推進方策 |
長野県内在来ソバ系統のうち「戸隠そば」および「入野谷在来」において、それらの復活プロジェクト当時と現在の原種・原々種を用いて、Mig-seq法によるDNA配列解析を実施する。この結果と2023年の結果を全て用いた遺伝特徴マップを構築し,戸隠そばおよび入野谷在来の遺伝的特徴が過去と現在でどのように変化したのかを明らかにする。これにより、両在来系統が固有性が復活プロジェクト当初から適切に継承されているのかどうかを明らかにする予定。さらに、使用するマーカーを検討することで、在来系統間の差異を区別できるより詳細な遺伝特性マップを構築していく予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
購入予定の消耗品の販売価格の変更により生じた。次年度の消耗品費として適切に使用したい。
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