研究課題/領域番号 |
23K05264
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研究機関 | 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 |
研究代表者 |
渡邊 和代 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 契約研究員 (80835116)
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研究分担者 |
粥川 琢巳 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (70580463)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 昆虫 / 培養細胞 / 初代培養 |
研究実績の概要 |
本研究では、がん化関連遺伝子を指標に培養細胞が樹立される過程に影響がある因子を特定し、最終的には初代培養過程でその因子を導入または抑制することで、どんな昆虫でも培養細胞を樹立できる新たな方法を確立することを目指す。我々のこれまでの研究で挙げられた培養細胞化に関わる候補遺伝子を精査し、いくつかの遺伝子についてベクターを作成した。加えて、関連遺伝子の特定を目的とした遺伝子強制発現系として、ハスモンヨトウ幼虫血球を用いたex vivo実験系のより詳細な条件検討を行なった。幼虫のステージ、血球の培養方法、培養液、導入試薬などについて改良を重ねた。しかし、遺伝子導入の有無に関わらず培養途中に血球の形状が変化する場合があることや、遺伝子導入効率が安定しないなど、遺伝子導入が必ず出来、かつ評価系として用いることができる最適条件を見出すことが出来なかった。そこで遺伝子導入や発現抑制が可能で、培養細胞が存在する昆虫としてココクゾウムシとコクヌストモドキを新たに選んだ。これら昆虫についてハスモンヨトウ同様にRNA-seqの準備と遺伝子導入実験の準備を進めた。また、培養細胞樹立が促進される培養条件の探索では、難培養細胞樹立性昆虫を用いた初代培養をベースに、新しい培養方法の検討を行なった。培養液だけでなく物理的な刺激を与えるような方法も検討した。いくつかのサンプルで、通常の条件で培養したものと比べ初代培養期間に生細胞が多く観察され、現在も継続して培養中である。また新規初代培養用培養液の改変を行った結果、既存の培養液に比べ初代培養細胞の生存日数を伸ばすことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り、候補遺伝子の絞り込み、強制発現系の検討、また新しい条件での培養の検討ができた。しかしRNA-seq解析用のサンプリングが出来なかった。
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今後の研究の推進方策 |
ココクゾウムシ、コクヌストモドキを使用したRNA-seqでの解析と遺伝子導入、RNAiの検討を進める。また、新しい培養条件を用いた初代培養について、さらに培養条件を精査し、培養中に変化する遺伝子発現を明らかにしていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度実施予定だったRNA-seq解析を次年度行う事になり、その経費が次年度使用額となった。
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