研究課題/領域番号 |
23K06329
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
太田 啓介 久留米大学, 医学部, 教授 (00258401)
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研究分担者 |
伴 匡人 久留米大学, 分子生命科学研究所, 准教授 (00579667)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | MAM / ミトコンドリア / オルガネラ間接触 / CLEM |
研究実績の概要 |
ミトコンドリア小胞体接触場Mitochondria associated membrane; MAMは単に小胞体とミトコンドリアが接触するだけでなく、ミトコンドリア外膜表面に様々なシグナル分子が集まる特別な膜ドメインとして生物学的にも疾患との関連性からも注目されている。そのためMAM観察用に光学顕微鏡レベルの様々なレポーターが開発され細胞機能との関連を評価に利用されているが、これらのレポーターで検出されるMAMが電子顕微鏡レベルでどのような構造と一致するのか十分評価されていない。本課題は3次元光顕-電顕相関顕微鏡(3D-CLEM)技術を用いて、光学顕微鏡レベルで評価されているMAMが電子顕微鏡レベルでどのような構造に相当するのかを同一試料上で相関観察し、各レポーターで検出されるMAMの構造的特徴を明らかにしMAMの多様性と機能との相関を試みるものである。今年度は、MAMレポータの収集(split GFP、NanoBiTを用いたMAMマーカーおよび近接ライゲーションアッセイ)を行うとともに、MAM検出に特化した免疫組織化学的3D-CLEM法の開発および、培養細胞用Array tomography法の歩留まり向上(細胞のすべてを余す所なく連続切片として取得し、かつ正確なアライメントを行うマーカー作製技術を確立した)、Array tomography法を用いて電子顕微鏡レベルで検出される3次元的なMAM構造の自動検出を目指したAIモデル作製を中心に進め、様々な状況に対応した学習データを取得するとともに、汎用的MAM検出モデル作製の実証を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本課題の根幹となるArray tomographyを用いたCLEMについては、連続切片の作製技術の大幅な改善による歩留まり向上が達成できた。また、免疫組織化学的CLEMに必須なラベリングについても実証が進みつつあり、概ね順調である。AIについては、ステップワイズAI学習において、どのようなトレーニングデータが必要かについて基礎的な検証を重ね、条件が異なっても同じモデルを用いて比較検討ができる識別モデルを作る手順が確立した。この様に技術的な側面はすべてクリアしつつあるといえる。 一方プローブについては、新しく入手すべきプローブについても、プローブ開発者と直接コンタクトを取ることができ、分与いただく方向で調整ができた。 以上の根拠から概ね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
3D CLEMは、包埋前の光学顕微鏡観察と、FIB-SEMもしくはArray tomographyとの組み合わせによるCLEMを想定していたが、より詳細な位置情報が得られるin-Resin CLEM法の応用を検討している。そのための新しい色素を導入し、現在検証を進めている。 また、免疫組織科学的手法とのCLEMでは形態保存の問題があり、十分な形態保存が可能かどうかを検討している。特に、固定については、形態保存を優先した場合に検出が難しくなる可能性が高く、現在、新しい固定法および、比較的弱い固定でも良い形態保存が望める試料作製法を検討しており、比較的良好な結果を得ている。 本課題では、この方法をCLEMに応用することを検討しており、今年度後半は特に免疫組織科学的手法と組み合わせたCLEMによるMAMの同定をすすめていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度は、プローブ収集については研究者間のやり取りが主となっており、試薬等の購入は少なく済み新しい試薬等を購入することなく進行した。また、技術検証部分については既存の方法の応用となるため、機材が揃っていたことから、余分な支出を抑制したことによる。 抗体等の費用が上昇しており次年度購入予定の交代購入費用に充当する予定である。
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