研究課題/領域番号 |
23K06743
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
坂井 寛 九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (80611665)
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研究分担者 |
阿部 俊也 九州大学, 大学病院, 助教 (20722028)
永吉 絹子 九州大学, 大学病院, 助教 (90761015)
田村 公二 九州大学, 大学病院, 助教 (90909582)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 膵癌 / 癌間質相互作用 / 癌免疫微小環境 / 腫瘍免疫 / 神経内分泌経路 / 膵星細胞 / 癌関連線維芽細胞 |
研究実績の概要 |
膵癌は化学療法や免疫チェックポイント阻害剤などの免疫療法に抵抗性を示す予後不良の癌種である。近年、中枢神経系が癌の進行と免疫系の活性の両方を制御できることが明らかになってきた。最近では、癌によって視床下部が活性化し、下垂体から内分泌ホルモンの一つであるα-MSHが分泌されることで腫瘍免疫を抑制していると報告された。我々はこれまで膵癌免疫微小環境の中枢的存在である活性化した膵星細胞(PSC)について研究している。このPSCを不活性化するドーパミン受容体拮抗薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬が膵癌の浸潤・進展を抑制すると報告している。この知見をもとに、PSCの活性化に視床下部-下垂体を介した神経内分泌ネットワークが関与している可能性があると考えた。本研究の目的は膵癌免疫微小環境中のPSCの活性化に関与する神経内分泌関連遺伝子を同定し、膵癌に対する抗腫瘍免疫を賦活化する新たな免疫治療薬の開発を目指すことである。今年度は以前報告した薬剤とは別のドーパミン受容体拮抗薬や抗うつ薬を用いてPSCの活性化抑制を評価した。ウエスタンブロットやPCRを行い、PSCの活性化抑制を確認した。この結果より、PSCの活性化に神経内分泌経路の関与が示唆され、新たな膵癌治療薬になり得ることが示唆された。現在これらの薬剤を用いたin vivo実験を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵癌同所移植モデルマウスを用いた実験において、標的とする神経内分泌経路に関与する神経伝達物質、神経内分泌ホルモンの同定に至っていない。過去の論文報告と同じ機序を持つ薬剤を用いてin vitro実験で膵星細胞の活性化抑制を確認することができており、現在標的遺伝子を検索中である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画に基づき、CAFに活性化に関与する神経伝達物質やその標的遺伝子の同定を行う。以前報告したマイクロアレイのデータのさらなる解析も行う予定である。In vivo実験として膵癌同所移植マウスにドーパミン受容体拮抗薬やヒスタミンH1拮抗薬を投与し、FACSや免疫染色を用いて腫瘍免疫微小環境を評価する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画に遅れを生じているため。次年度は研究用試薬、器材、抗体、マウス費などに使用予定である。
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