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2023 年度 実施状況報告書

変性神経突起における輸送障害とアルツハイマー病初期病態進展機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K06809
研究機関順天堂大学

研究代表者

樫山 拓  順天堂大学, 医学部, 助教 (90338343)

研究分担者 高杉 展正  岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (60436590)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードアルツハイマー病 / アミロイドプラーク / アミロイドベータ / 神経変性突起
研究実績の概要

アルツハイマー病(AD)脳初期病変の老人斑(プラーク)近傍では、輸送障害小胞が充満し膨化した変性神経突起が生じる。申請者はリン脂質フリッパーゼであるP4-ATPase及びそのサブユニットTMEM30Aが初期から変性神経突起に蓄積することを見出した。近年、シナプスにおけるフリッパーゼ活性の撹乱によるホスファチジルセリンの露出がeat-meシグナルとなり、ミクログリアによる貪食を介したシナプス機能障害を引き起こすことが示唆され、ADとの関連が指摘されている。
2023年度は、変性神経突起におけるTMEM30Aの蓄積と輸送障害がシナプス機能へ与える影響を解明するために、In vitroの神経分散培養に人工的にプラークを形成させる実験モデルの確立を目指した。
プラークの核となる(ヒトアミロイドベータ)Aβを結合させたビーズを神経分散培養に加え、培地にAβを添加したところプラークの成長が確認された。免疫染色によりプラーク周辺に神経変性突起マーカーであるタンパク質の集積が確認された。また、既報の神経突起形成を抑制する薬物を投与したところ、それらのタンパク質の集積が減少した。
以上のことから、生体内のプラーク形成とそれに伴う神経変性の初期病態を再現しているモデルとして有用であると期待された。今後、この実験系を用い、変性神経突起の形成や軸索輸送障害や神経終末におけるP4-ATPase活性を調べることで仮説を検証する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

神経分散培養におけるプラーク形成とそれに伴う神経変性突起の形成に成功した先行研究がなく、実験当初は困難が予想されたが、プラーク核となるビーズを工夫することで期待どおりの結果を得ることができた。この分散培養モデルは顕微鏡観察に適しており、神経突起におけるP4-ATPaseの輸送障害や活性測定に有用であると考える。

今後の研究の推進方策

プラーク形成に伴う輸送障害をリアルタイムに可視化するために、目的タンパク質に蛍光タンパク質を融合させ神経細胞に導入する系を確立する。プラークが形成した段階の神経細胞はプラスミドDNAを用いたトランスフェクションが困難なため、遺伝子導入法としてアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を用いる。ただしAAVは挿入遺伝子配列の長さに制限があるため、In vitro transcription mRNAを用いた遺伝子導入法も検討する予定である。

次年度使用額が生じた理由

当初予定していた脳スライス培養を分散培養に変更したことやアデノ随伴ウイルスの作製を共同研究者に依頼することで、当初予定していた支出が削減された。次年度以降は計画通り遂行する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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