研究課題/領域番号 |
23K07634
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研究機関 | 獨協医科大学 |
研究代表者 |
党 雅子 獨協医科大学, 医学部, 教授 (90595597)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 気管支喘息 / 終末糖化産物 / ステロイド抵抗性 / 糖化ストレス / 肥満 |
研究実績の概要 |
気管支喘息は、患者ごとに異なる特徴を併せ持つ不均一な疾患である。最近、個々の患者の「Treatable traits」にそった気管支喘息治療の重要性が示され、同時に「Treatable traits」の究明が急務とされている。重症喘息の管理にあたっても、重症化の原因となる「認識されていない「traits」」を探索し、個々の重症化防止戦略を立てることが重要である。我々は、肥満合併重症喘息の研究の過程で、糖化ストレスが喘息重症化に関与する可能性に着目した。この結果を踏まえ、本研究では、糖化ストレスの上昇とステロイド反応性低下および喘息重症化との関連を明らかにし、その機序を解明することをめざしている。最終的には、病態にそった喘息治療の開発につなげることと、「糖化ストレス上昇」を喘息治療における新規「Treatable traits」のひとつとして確定し、喘息管理の進歩に貢献することを目標としている。 2023年度は、気管支喘息患者から得られた臨床検体の解析を行った。血清中の終末糖化産物および各種サイトカインの定量および末梢血単核球(PBMC)のステロイドの感受性の定量の結果、PBMCのステロイドの感受性は、予測通り、血清中の終末糖化産物の濃度と有意に相関していた。さらに、患者PBMCの終末糖化産物受容体、および各種炎症性サイトカインのmRNAの発現量を定量した。また現在、ウエスタンブロット法を用いて、PBMCの細胞内蛋白質中のNF-kBやステロイド感受性と関連する蛋白質の定量を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度中に、予定していた臨床検体の解析はほぼ終了したものの、ウエスタンブロットを用いたPBMCの細胞内蛋白質の解析のみがやや遅れている。これは、使用する抗体のロットの変更に伴い、再度最適化を行っていたためである。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度の前半で臨床検体の測定と解析を終了する予定である。この結果から糖化ストレスとステロイド感受性低下をつなぐ経路を探索していく。これによって解明された糖化ストレスとステロイド感受性低下をつなぐ経路について、培養細胞を使った系で、その因果関係をより強固に証明していく方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2023年度には、ウエスタンブロットを用いたPBMCの細胞内蛋白質の解析の遅れのための未使用額が発生した。現在は同解析の遅れの原因は解明できており、順調に遅れを取り返す方向にきている。2024年度に、引き続いてPBMCの細胞内蛋白質の解析を行う予定であり、そのためにこの未使用額を使用する。
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