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2023 年度 実施状況報告書

遺伝性腎疾患におけるスプライシング異常の影響の全容解明および治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K07698
研究機関神戸大学

研究代表者

野津 寛大  神戸大学, 医学研究科, 教授 (70362796)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードスプライシング / 核酸医薬 / エクソンスキッピング / アルポート症候群 / ファブリー病
研究実績の概要

1)スプライシング異常をきたしうる変異の同定およびその頻度の解明:保有する遺伝情報の中から、特に疾患を有するにもかかわらず変異が同定できなかった患者の遺伝情報を中心に、イントロン変異やサイレント変異およびその病原性が不明なミスセンス変異の中でスプライシング異常の可能性がある変異を検出し、スプライシング異常の頻度およびその重症度への影響に関して明らかにすることを目的として研究を進めている。令和5年度はファブリー病及びアルポート症候群においてイントロン内遺伝子異常が高頻度にスプライシング異常をきたすことを明らかにした(Clin Exp Nephrol. 2023、Clin Exp Nephrol.2023)。またWT1遺伝子に関しても同様の所見を認め現在投稿中である。
2)スプライシング異常発症機序の解明: minigeneや患者腎由来培養細胞を用いた解析系を用いて、スプライシング促進因子の発現調節を行い、その影響を調べることでスプライシング異常発生機序を解明する。令和5年度はアルポート症候群において、イントロン内バリアントによるスプライシング異常により新規のエクソンが産生される機序に関してスプライシング制御タンパクをノックダウンすることで改善することを明らかにした。現在投稿準備中である。
3)新規疾患特異的治療法の開発:すでに精通した手技を有しており、すべての遺伝性腎疾患を対象とした治療法の開発を行う。令和5年度は上記アルポート症候群に対してスプライシング制御による治療法の開発中である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

上記研究実績の概要で記載した通り、1.ファブリー病及びアルポート症候群においてイントロン内遺伝子異常が高頻度にスプライシング異常をきたすことを明らかにした(Clin Exp Nephrol. 2023、Clin Exp Nephrol.2023)。またWT1遺伝子に関しても同様の所見を認め現在投稿中である。2.アルポート症候群において、イントロン内バリアントによるスプライシング異常により新規のエクソンが産生される機序に関してスプライシング制御タンパクをノックダウンすることで改善することを明らかにした。現在投稿準備中である。3.アルポート症候群に対してスプライシング制御による治療法の開発中である。
以上のように、研究は順調に進行している。

今後の研究の推進方策

その他の遺伝性腎疾患において、同様にスプライシング異常の関与に関して研究を進める。その中でスプライシング制御による治療法開発の可能性を検討し、可能な疾患では、低分子化合物、核酸医薬などによる治療薬開発に関して検討する。

次年度使用額が生じた理由

研究が効率良く順調に進行したが、その反面、遺伝学的研究の消耗品費が低額で進めることができた。しかし令和6年度は研究成果を多数論文発表予定であり。英文校正代や論文投稿代に余剰金を当てる必要がある。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Systematic Review of Clinical Characteristics and Genotype-Phenotype Correlation in LAMB2-Associated Disease2023

    • 著者名/発表者名
      Suzuki Ryota、Sakakibara Nana、Ichikawa Yuta、Kitakado Hideaki、Ueda Chika、Tanaka Yu、Okada Eri、Kondo Atsushi、Ishiko Shinya、Ishimori Shingo、Nagano China、Yamamura Tomohiko、Horinouchi Tomoko、Okamoto Takayuki、Nozu Kandai
    • 雑誌名

      Kidney International Reports

      巻: 8 ページ: 1811~1821

    • DOI

      10.1016/j.ekir.2023.06.019

    • 査読あり
  • [雑誌論文] All reported non-canonical splice site variants in GLA cause aberrant splicing2023

    • 著者名/発表者名
      Okada Eri、Horinouchi Tomoko、Yamamura Tomohiko、Aoto Yuya、Suzuki Ryota、Ichikawa Yuta、Tanaka Yu、Masuda Chika、Kitakado Hideaki、Kondo Atsushi、Sakakibara Nana、Ishiko Shinya、Nagano China、Ishimori Shingo、Usui Joichi、Yamagata Kunihiro、Matsuo Masafumi、Nozu Kandai
    • 雑誌名

      Clinical and Experimental Nephrology

      巻: 27 ページ: 737~746

    • DOI

      10.1007/s10157-023-02361-x

    • 査読あり
  • [学会発表] 小児科医が知っておかなければならない分子生物学的観点から見た腎臓の機能と構造2024

    • 著者名/発表者名
      野津寛大
    • 学会等名
      第127回日本小児科学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] Holistic Approach to Diagnosing and Treating Genetic Kidney Diseases.2023

    • 著者名/発表者名
      Kandai Nozu
    • 学会等名
      The 13 th Chronic Kidney Disease Frontier Meeting
    • 国際学会 / 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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