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2023 年度 実施状況報告書

細胞外マトリックスが膵β細胞の機能・分化・増殖に与える影響の解析

研究課題

研究課題/領域番号 23K07995
研究機関国際医療福祉大学

研究代表者

西村 渉  国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (00334433)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード糖尿病 / 慢性炎症 / 細胞外マトリックス / 転写因子 / シグナル伝達 / 膵β細胞 / 発現制御 / 成熟分化
研究実績の概要

世界の糖尿病罹患者は2021年時点で5億3700万人と推定され、今後も増え続けると推測されている。膵β細胞はインスリンの分泌により、糖代謝を制御している。糖尿病の多くを占める2型糖尿病では、末梢のインスリン抵抗性が増大し、膵β細胞の機能ならびに量が低下して、インスリン分泌が障害され、糖代謝異常が発生する。近年、慢性炎症が、2型糖尿病における膵β細胞障害メカニズムに関与することが明らかになってきている。しかしながら、糖尿病状態での膵β細胞に対する遊離脂肪酸、慢性の高グルコース刺激やhIAPPの作用が、サイトカインやケモカイン、インフラマソームを介して、マクロファージを含む膵島周囲の微小環境と膵島の相互作用に与える影響の分子メカニズムは、十分に明らかではない。
我々はこれまでに、様々な環境下のマウス膵島、あるいは膵β細胞の網羅的遺伝子発現解析等の結果、マウス成熟膵β細胞で発現抑制され、糖尿病モデルマウス膵島で発現増強して、膵β細胞障害を誘導する可能性のある遺伝子群の主なものとして、細胞外マトリックス(ECM)関連分子や炎症性サイトカイン、ケモカイン、SASP因子を同定した。そこで本研究では、糖尿病の膵β細胞において過剰発現するECM関連分子が、膵β細胞とECMや免疫細胞を含む膵島周囲の微小環境との相互作用の変容を介して、膵β細胞の機能・分化・増殖に与える影響の分子メカニズムについて明らかにする。
本年度はまず、ECMが糖尿病の膵β細胞に直接与える影響について解析した。すなわちマウス分離膵島に対するECM関連分子の機能解析や、ECM関連分子の発現を制御する転写因子の機能解析などを行った。またマウス分離膵島の培養系を用いて、ECMがマクロファージを介して糖尿病の膵β細胞に与える影響について解析した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

COVID-19の影響で予定されていた実験の一部で施行が遅れ、また研究代表者に研究機関の異動があったが、研究はおおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

これまでの研究の結果、分離膵島の培養系を用いて、ECM関連分子が膵β細胞の機能に与える影響が明らかになりつつある。今後は当初の計画通りに、個体において、ECM関連分子が膵β細胞機能に与える影響を解明する。すなわち、膵β細胞と膵島周囲の微小環境との相互作用の鍵となる遺伝子について、コンディショナルな膵β細胞特異的遺伝子改変マウスを作製して、代謝パラメーターや組織学的解析を施行することにより、ECM関連分子が糖代謝に与える影響を解析する。また、膵β細胞と膵島周囲の微小環境との相互作用の網羅的解析を施行し、膵島の慢性炎症に関与する細胞成分を明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

本研究では期間中に、COVID-19の影響で予定されていた実験の一部で施行が遅れたため、次年度使用が生じた。

  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 1件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] モンゴル国立医科学大学(モンゴル)

    • 国名
      モンゴル
    • 外国機関名
      モンゴル国立医科学大学
  • [雑誌論文] Glucocorticoid receptor-NECAB1 axis can negatively regulate insulin secretion in pancreatic β-cells.2023

    • 著者名/発表者名
      Udagawa H, Funahashi N, Nishimura W, Uebanso T, Kawaguchi M, Asahi R, Nakajima S, Nammo T, Hiramoto M, Yasuda K.
    • 雑誌名

      Sci Rep

      巻: 13(1) ページ: 7958

    • DOI

      10.1038/s41598-023-44324-y

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Macroarray expression analysis of cytokines and prostaglandin metabolism-related genes in chronic rhinosinusitis.2023

    • 著者名/発表者名
      Oka A, Kanai K, Higaki T, Makihara S, Noda Y, Kariya S, Ando M, Nishimura W, Okano M.
    • 雑誌名

      J Allergy Clin Immunol Glob

      巻: 2(3) ページ: 100123

    • DOI

      10.1016/j.jacig.2023.100123

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 膵β細胞の成熟分化ならびに恒常性維持に重要な転写因子群の同定.2024

    • 著者名/発表者名
      西村渉, 岩佐宏晃.
    • 学会等名
      第23回日本再生医療学会総会
  • [学会発表] 高AGE食によってもたらされる老化と遺伝子発現の変動.2023

    • 著者名/発表者名
      岩佐宏晃, 渡部栄地, 西村 渉.
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会.
  • [学会発表] 腫瘍抑制遺伝子Rassf6のノックアウトは膵島におけるリボソーム生合成を低下させる.2023

    • 著者名/発表者名
      岩佐宏晃, 渡部栄地, 西村 渉.
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会
  • [学会発表] 転写因子Mafa・Pdx1プロモーター活性の可視化による膵β細胞の機能解析.2023

    • 著者名/発表者名
      西村 渉, 岩佐宏晃, 藤森 日彩, 津久井 南帆, 津田 潤.
    • 学会等名
      第96回日本生化学会大会
  • [学会発表] 一細胞RNA-seq解析による成熟膵β細胞の恒常性維持メカニズムの解明.2023

    • 著者名/発表者名
      西村 渉, 岩佐宏晃.
    • 学会等名
      第13回国際医療福祉大学学会.
  • [学会発表] リンパ浮腫が皮膚硬化に与える影響.2023

    • 著者名/発表者名
      菅谷 誠, 草野広行, 潮見隆之, 西村 渉.
    • 学会等名
      第13回国際医療福祉大学学会.
  • [学会発表] RASSF6による糖尿病発症におけるシグナル伝達の解明.2023

    • 著者名/発表者名
      岩佐 宏晃, 西村 渉.
    • 学会等名
      第13回国際医療福祉大学学会.
  • [学会発表] ymphatic dysfunction affects both collagen degradation and collagen synthesis, leading to a paradoxical reduction in dermal fibrosis.2023

    • 著者名/発表者名
      Sugaya M, Kusano H, Shiomi T, Nishimura W, Blauvelt A.
    • 学会等名
      International Societies for Investigative Dermatology 2023
    • 国際学会
  • [学会発表] 膵β細胞成熟分化におけるDNAメチル化の役割の解析.2023

    • 著者名/発表者名
      西村 渉, 岩佐宏晃, Munkhtuya Tumurkhuu, 野田泰子, 安田和基.
    • 学会等名
      第66回日本糖尿病学会年次学術集会.
  • [学会発表] 血糖制御と臓器間コミュニケーション 神経ネットワークを介した膵α細胞量の調節.2023

    • 著者名/発表者名
      椎木幾久子, 田部勝也, 井泉知仁, 吉村充弘, 西村 渉, 今井淳太, 奥屋 茂, 上田 陽一, 片桐秀樹, 谷澤幸生.
    • 学会等名
      第65回日本糖尿病学会年次学術集会.
  • [備考] 自治医科大学 医学部 解剖学 / 大学院医学研究科 構造解析学

    • URL

      https://www.iuhw.org

  • [備考] Researchmap マイポータル(西村渉)

    • URL

      https://researchmap.jp/nishimuraw

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公開日: 2024-12-25  

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