• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

ヒトiPS細胞由来成熟心筋細胞を用いたCNP動態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K08261
研究機関埼玉医科大学

研究代表者

千本松 孝明  埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70216563)

研究分担者 筒井 健太  埼玉医科大学, 医学部, 客員准教授 (30534284)
田中 尚道  埼玉医科大学, 医学部, 助教 (30833686)
吉武 明弘  埼玉医科大学, 医学部, 教授 (70327550)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワードCNP / 心筋細胞 / iPS細胞 / 心不全 / ARNI
研究実績の概要

新しい慢性心不全治療薬 Angiotensin II receptor and neprilysin inhibitor(ARNI)は、レニンアンギオテンシン阻害薬である Angiotensin II Type 1 receptor blocker (ARB)とNeprilysin (NEP) inhibitorが1:1で組み合わされた複合体である。NEP inhibitorは血管トーヌスに関わる酵素の一つであるNEPを阻害し、Na利尿ホルモンの上昇が目的である。Na利尿ホルモンの1つであるAtrial natriuretic peptides (ANP)のアナログであるhuman-ANPは臨床でも多々使用されているが、ARNIにはNPR-Aという同一の受容体を介したRenin-angiotensin system (RAS)のcounterpartとして機能するANPやBrain natriuretic peptides (BNP)の上昇以外にNPR-Bに結合し、cyclic guanosine monophosphate (c-GMP)を上昇させるC-type natriuretic peptides (CNP)の分泌を刺激する。興味深いことはARNI以外にCNPを上昇させる薬剤は存在しないことである。Na利尿ホルモン中で最も小さいCNPはNEP inhibitorにより最も上昇すると考えられているが、半減期が約2分と極めて短く、臨床では十分な研究成果が得られていない。従ってヒト心筋細胞のCNPの動態やその受容体であるNPR-B/NPR-Cの発現変化の究明は心不全加療の革新的なアプローチを見いだせる可能性があると考え、これまで研究室で養ってきた高品質ヒトiPS細胞誘導法にて誘導されたヒトiPS細胞を用いて心筋細胞を誘導し、心筋細胞のCNP動態の研究を遂行する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまで当研究室で確立された山中因子等をepisomal vectorに組み込み電気穿通法にて誘導する方法及びreplicative RNA vectorを用いて精製された山中因子等mRNAによる導入にて安定したヒトiPS細胞の誘導は確立され, 十分量のヒトiPS細胞が確保されている。心筋細胞分化誘導は、これまで当研究室にて開発された手法に加えて、各社の心筋細胞分化キット(PSdif-cardio Cardiomyocyte Differentiation Kit (R&D Systems, Inc)、STEMdiff Ventricular Cardiomyocyte Differentiation Kit (Veritas社)、StemXVivo Cardiomyocyte Differentiation Kit ((R&D Systems, Inc)を用いて心筋細胞誘導を施行している。コストおよび効率を考慮し最も高効率に誘導が行われる方法の最適化を実施中である。またこれまで心筋細胞の分散はMiltenyi Biotec社のPSC-Derived Cardiomyocyte isolation kit human及びセルソーター(心筋細胞表明抗原:VCAM1)を行っていたが、効率は良くなく、心筋細胞分散薬AscleStem® Cardiomyocyte Dissociation Solutionの使用を検討している最中である。心筋細胞のCNP動態解析には分散された心筋細胞がどうしても必要であり、現在安定した心筋細胞分散法の確認中である。

今後の研究の推進方策

本年上半期中には、分散した心筋細胞の確保は到達できる予定である。これらを用いて基本的心筋細胞の分化評価(拍動性、トロポニン、RYR2,、MYH6,、MYH7)を実行し、心筋細胞としての機能を確認後、ANP/BNP/CNPの発現レベル、Na利尿ホルモン受容体NPR-A/NPR-B/NPR-Cの発現レベルを確認し、正常レベルでの心筋細胞のCNPを中心とした動態を確認する予定である。基本データを取得後、ストレックス社自動伸展刺激モデルSTB-1400を用いて心筋細胞にメカニカルストレス負荷を掛けてin vitro実験系で心不全病態を再現し、ANP/BNP/CNPの発現レベル変化及び分泌量の変化、NPR-A/NPR-B/NPR-CそしてNeprilysinの発現レベルの変化量を確認する。更にこの病態を有した心筋細胞にARNI (Sacubtril/Valsartan (LCZ696))及びARNIのNeprilysin inhibitorであるsacubtrilの加水分解型であるsacubtrilatを添加し、各Na利尿ホルモンの細胞外濃度の変化を確認する予定である。

次年度使用額が生じた理由

初年度のiPS細胞から心筋細胞への誘導は、これまでに当研究室にて確立されたiPS細胞誘導の確認が中心となり、次のステップである心筋細胞分化はこれまで取り組んでいた内容のブラッシュアップと安定が中心であったために、予想以上のランニングコストの抑制が可能であった。しかし、心筋細胞分散は予想して以上に効率が高くなく、こちらにコストをかけていく予定となったため、繰越しとさせていただいた。

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi