研究課題/領域番号 |
23K08631
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
中道 亮 岡山大学, 大学病院, 研究准教授 (20803167)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 腱修復 |
研究実績の概要 |
腱由来幹・前駆細胞(TSPC)をラットから採取し、PIEZO1アゴニストを用いたカルシウムアッセイを行い、PIEZO1が機能していることを確認した。そこでPIEZO1アゴニストおよびSiRNAを用いた活性調整をin vitroに行い、そのトランスクリプトームの変化をRNA-seqにて解析した。結果、PEIZO1活性促進により腱分化マーカーであるScleraxisを始めとした腱分化マーカーの発現上昇およびSox9, Runx2を始めとした軟骨、骨分化マーカーの発現低下が確認されたTSPCは腱修復時に機能する細胞として知られていることから、上記結果からPIEZO1アゴニストは腱修復促進剤として利用できる可能性が示唆された。 次に細胞培養ゲルにてTSPCを三次元培養下にPIEZO1アゴニストにて刺激し、腱組織合成に適当な培養条件の検討を行い、至適条件を決定した。現在この培養条件にて長期培養を行い、細胞培養ゲル内で腱組織生成を行う実験を進めている。 また昨年度は遺伝子改変マウスとして腱組織特異的に遺伝子改変可能なCreマウスとしてMkx-CreERT2マウスを東京医科歯科大学より移送し、Piezo1 floxマウスと掛け合わせることで腱組織特異的Piezo1ノックアウトマウスを作成、腱修復時における影響を解析する準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は提案のうち「1 腱由来幹細胞におけるPIEZO1の役割の検証」は終了した。「2 腱修復における腱損傷部特異的PIEZO1活性調整マウスでの検証」はマウスを輸送し現在実験に必要な数を増やしている。「3Puramatrixの薬剤徐放性能の検証と周囲細胞の分化能の検証」はPuramatrixではなく別種類の細胞培養ゲルを用いることでより細胞の腱組織合成能が高まることをトランスクリプトームレベルで確認し、現在は実際の生成組織の評価を行う段階に進めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は引き続き細胞培養ゲルでの組織合成能の評価を行うと共に、長期培養を行うシステムの開発を行なっていく。また遺伝子改変マウスを用いた腱修復能の実験は必要数が揃い次第解析を進めていく。これらを進めることで、3年目の計画である実際の修復モデルへの投与、移植実験へと繋ぐ予定である。
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