研究課題/領域番号 |
23K08928
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中丸 裕爾 北海道大学, 医学研究院, 准教授 (20344509)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 好酸球性副鼻腔炎 / 抗好中球細胞質抗体 / 顆粒球細胞外トラップ |
研究実績の概要 |
抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasmic antibody: ANCA)関連血管炎(AAV)に伴う副鼻腔炎や好酸球性副鼻腔炎は、保存的治療が効果の乏しい難治性副鼻腔炎である。近年、顆粒球細胞外トラップ(extracellular traps: ETs)という、病原微生物を捕捉するために好中球や好酸球から放出される網状の物質が、過剰に産生されることで自己免疫性疾患やアレルギー疾患などを引き起こすことがわかってきた。AAVにおいては腎臓や中耳において好中球ETsが、喘息や好酸球性副鼻腔炎においては好酸球ETsが炎症局所に存在することが報告されているが、鼻副鼻腔における各ETsを定量した報告はない。 今回の研究では、難治性副鼻腔炎(AAV、好酸球性副鼻腔炎)症例の検体を用いて、好酸球、好中球両方のETsの存在および発現レベル値を測定することで好酸球性副鼻腔炎やAAVによる副鼻腔炎の診断・疾患活動性に関するバイオマーカーとしての有用性を評価することを目的とする。 本年は1. 難治性副鼻腔炎(AAV、好酸球性副鼻腔炎)患者を疾患群、一般的な副鼻腔炎(急性副鼻腔炎、非好酸球性副鼻腔炎)患者を対照群として、血液、鼻汁、鼻腔粘膜組織を採取した。また、2. ETsを構成するcell-free DNA、Cit-H3-DNA複合体、MPO-DNA複合体などをELISA法で測定した。 現在、好酸球性副鼻腔炎と通常の慢性副鼻腔炎の鼻汁検体が好酸球性副鼻腔炎16例、通常の副鼻腔炎が7例集まっている。現在までの検討の結果、好酸球性副鼻腔炎と一般的な副鼻腔炎において、ETsの有意差が認められる項目も出てきている。 今後症例を増やし検討を続ける。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調に検体が集まっている。今後ANCA関連疾患の検体も集める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後検体数を増やすとともに、ANCA関連疾患の検体も集めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:検体が十分集まらず、キットの消費が少なかった。 使用計画:検体を集め、実験を進める。抗体の購入、サイトカイン測定キット購入を行う。また情報収集のため学会に参加予定である。
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