研究実績の概要 |
検討1:網膜色素上皮細胞(RPE)へのハイドロキノン(HQ)の細胞毒性:HQの適性濃度を決定するため、96 well plateに1×105 cells/cm2で細胞播種、細胞播種2日後に無血清培地に培地交換、細胞播種4日後にHQ添加(0, 10, 100, 1000uM)、HQの1日間投与とHQの1ヶ月間投与を行った後にLDH試験にて細胞障害率を評価した。HQの1日間投与とHQの1ヶ月間投与において、HQ 10uM, 100uM, 1000uM、いずれの濃度においても細胞障害率は0%であった。このため、以降の実験はHQ 100uMで行うことに決定した。 検討2:RPEの色素量への影響:HQ添加1週後、2週後、3週後、4週後の透過率を吸光度計で測定した。HQ添加なしの透過率は78.9%、75.3%、64.7%、54.9%、HQ添加ありの透過率は81.5%、78.1%、68.2%、59.2%と、HQ添加により透過率が高くなり、HQ添加によりRPEのメラニン生成が低下した。細胞の大きさや形態についは両群に差を認めなかった。 検討3:RPEのメラニン生成に関わる遺伝子発現への影響:HQ添加前、添加1日後、7日後の細胞に対して、メラニン生成のマスター遺伝子である小眼球症関連転写因子 (MITF)、チロシナーゼ (TYR)、チロシナーゼ関連蛋白 (TYRP1) の遺伝子発現量を定量PCRで評価した。HQ添加により、添加1日後はMITFが0.74、TYRが0.82、TYRP1が0.77、添加7日後はMITFが0.69、TYRが0.71、TYRP1が0.66となり、HQ添加によりRPEのメラニン生成に関わる遺伝子発現が低下した。
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