研究課題/領域番号 |
23K09054
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
安藤 亮 北海道大学, 大学病院, 講師 (60399847)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 自己免疫性網膜症 / 抗網膜抗体 / 抗体価 / 癌関連網膜症 |
研究実績の概要 |
2023年度は新たに9名の自己免疫性網膜症患者の血清を得ることができた。これらに対してrecoverin、α-enolase、carbonic anhydrase 2(CAII)、aldolase Cに対する抗体4種類についてwestern blottingを行った。各抗体の陽性数は1例、3例、4例、0例であった。 過去に取得し保存していた血清も含め、ELISA法を用いて抗α-enolase抗体の抗体価を測定した。既報では抗網膜抗体の抗体価は吸光度で示されることが多かったが、この手法だと同時に測定した検体同士でないと比較することができないという難点があった。我々はコントロールとしてrabbit anti-Enolase antibodyを7段階希釈して検量線を引き、吸光度をrabbit anti-Enolase antibody濃度に換算できるようにした。rabbit anti-Enolase antibody 1µg/ml相当を1Uとして、全ての検体の抗体価をUで表すようにした。こうすることで、複数の実験結果を統合して検討することが可能となった。まず予備実験を3回行い、固相化するタンパク質の濃度、血清の希釈率、二次抗体の濃度、コントロール抗体濃度の最適化を行った。その後、本実験を3回行い36検体の抗体価を測定した。同一検体における抗体価のばらつきは大きくなく、検査の妥当性を確認できた。 抗α-enolase抗体陽性自己免疫性網膜症14例の臨床像と抗α-enolase抗体価を比較した。抗体価は0~0.43Uであった。網膜電図との関連はみられなかった。採血時視力と抗体価、最終視力と抗体価に有意な相関がみられたことから、疾患活動性や視力予後を予測するのに有用であることが示唆された。また、この結果は妥当なものである点からも、今回のELISA法の妥当性を示すことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べたように抗体価測定を確立することができ、臨床像との比較まで行えた。
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今後の研究の推進方策 |
計画書の通り進める。つまり、他の抗網膜抗体についてのwestern blottingを行い、正常者や他疾患患者の抗α-enolase抗体価も測定し、抗体価の診断有用性を評価する。さらに、その他の抗体についても抗体価を同様に評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗網膜抗体についてのwestern blottingは14種類を調べる予定だが、まだ4種類しか調べていないため。今後タンパク質や抗体を購入して行う予定である。
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