研究課題/領域番号 |
23K09154
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
丹下 正一朗 札幌医科大学, 医学部, 助教 (40571211)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 口腔がん / 予後予測因子 |
研究実績の概要 |
動物種間のゲノム比較から、グルタミン酸脱水素酵素2をコードするGLUD2遺伝子や、ヒトの脳形成に寄与するとされるNOTCH2NL等、霊長類特異的遺伝子の存在が明らかになっている。これら遺伝子を対象とした研究の多くは、ヒト特有の高度な脳の発生との関連に焦点を当てており、がんをはじめとする疾患との関連性については研究の端緒についた段階であるといえる。 本研究は、口腔がん検体における霊長類特異的遺伝子の機能解明を目標としている。現在までに、口腔がん由来細胞株Ca9、HSC4等を用いて複数の霊長類特異的遺伝子のノックダウンおよび増殖能力の検証を進めているほか、ノックダウンすることによりSLC7A11遺伝子の発現が著明に低下する霊長類特異的遺伝子を発見している。SLC7A11は、酸化ストレス抵抗性の獲得に寄与する膜貫通蛋白質xCTをコードしている。本年度の研究結果より、口腔がんの悪性化の寄与が示唆される霊長類特異的遺伝子の候補の特定が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究結果より、霊長類特異的遺伝子のうち口腔がんの悪性化に寄与していると考えられる候補遺伝子の特定が示唆されたため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度のデータを基盤とし、霊長類特異的遺伝子のうち口腔がんの悪性化に寄与していると考えられる候補遺伝子のさらなる詳細な機能の測定、ならびに細胞全体でのトランスクリプトーム情報の変化や細胞生物学的特性の変化を俯瞰することで疾患の解明につなげる。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度にデータ解析を中心とした研究を先行して行ったほか、研究代表者がCOVID-19に罹患したための療養期間が存在したこと、ならびにそれに伴う細胞実験の遅延もあったため、本年度に予定していた研究の一部を次年度に行うこととしたため、一部物品の発注も次年度に順延した。
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