研究課題/領域番号 |
23K09284
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研究機関 | 日本歯科大学 |
研究代表者 |
佐藤 義英 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20287775)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 大脳基底核疾患 / 嚥下障害 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病やハンチントン病は嚥下障害を伴うことから、大脳基底核疾患と嚥下障害には強い関連があると言える。しかし、大脳基底核の神経経路と嚥下機能との関連性については不明である。黒質緻密部のドパミン作動性ニューロンは線条体に神経線維を送り、直接路のニューロンにはD1受容体を介して興奮性に作用し、間接路のニューロンにはD2受容体を介して抑制性に作用する。そこで本研究では、ラット線条体へのドパミン受容体拮抗薬の注入が、嚥下反射に対しどのような影響を及ぼすのか検討した。実験にはウレタン麻酔下ラットを用いた。上喉頭神経連続電気刺激により嚥下反射を誘発し、顎舌骨筋から筋電図を記録した。両側線条体中央部へドパミンD1受容体拮抗薬Sch-23390またはD2受容体拮抗薬domperidoneを注入した。注入前および注入直後から注入90分後まで、嚥下回数および嚥下開始時間を計測し、経時的な変化について検討した。実験終了後、脳切片を作製し注入部位を組織学的に確認した。D1受容体拮抗薬では、嚥下回数は注入前と注入後を比較して有意差がみられなかった。D2受容体拮抗薬では、嚥下回数は注入前と比較して注入10分後から25分後に有意に減少した。嚥下開始時間は、注入0分後と40分後に有意に短くなった。これらの結果から、大脳基底核の間接路が直接路より、嚥下反射に関与している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大脳基底核の間接路が直接路より、嚥下反射に関与している可能性が考えられたため。
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今後の研究の推進方策 |
健常ラットの両側線条体中央部へドパミン受容体作動薬を注入し、嚥下反射が変調するか検索する。また、パーキンソン病モデルラットにおいて、咽頭・喉頭領域への蒸留水刺激や上喉頭神経連続電気刺激による嚥下反射の特性を検索する。そして、パーキンソン病モデルラットの淡蒼球にサブスタンスP とGABAA受容体作動薬ムシモールを微量注入し、嚥下に改善効果がみられるか検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金だけでは消耗品が購入できなかったため次年度使用額が生じた。次年度使用額と翌年度分として請求した助成金は、主に実験材料費に使用する。
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