研究課題/領域番号 |
23K09554
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研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
色摩 弥生 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40291562)
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研究分担者 |
矢吹 省司 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (00260779)
大谷 晃司 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (50285029)
和田 久美子 福島県立医科大学, 看護学部, 教授 (50320867)
及川 沙耶佳 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助教 (50725801)
安田 恵 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (60814548)
Maham Stanyon 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 助手 (80863563)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2028-03-31
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キーワード | リーダーシップ / コンピテンシー / modified Delphi / テーマ分析 / 医療チーム / 文化 |
研究実績の概要 |
英国のNHSが2010年に作成したClinical Leadership Competency Framework (CLCF)を基にmodified Delphi法を行い、その結果を基に日本人医師の視点によるリーダーシップコンピテンシーを構築し、その文化的特徴を明らかにした。 具体的には、様々な医療機関に所属し様々な領域を専門とする日本人専門医26名に、CLCFを構成する80項目の重要度の5段階リッカート法による評価と、医療チームのリーダーにはどのような資質と能力が必要と思うか自由記述を依頼した。その結果、重要度が高くないと判断された(リッカート平均4未満、かつ重要と認識する参加者が7割未満)のは、日本では医師個人に課されることの少ない行動(ヘルスケアシステムの開発、無駄の最小化、プロセスの評価)を記述した3項目であり、CLCFから除外した。自由記述に基づき、人間関係志向的行動を記述した6項目と課題志向的行動1項目を新たに追加し、人間関係志向的行動の記述6項目の修正を経て、CLCFは、人間関係志向的行動を重視する84項目に改編された。自由記述に対してreflexive thematic analysisを行った結果、日本人医師はリーダーシップを、謙虚さを基盤とし、メンバーの心理的安全の確保を経てチームの認知的かつ情緒的結束を目指すものと認識していることが示唆された。謙虚さを基盤とし情緒的結束を希求する点が日本的特徴であり、西洋人の独立的自己観に対する東洋人の相互依存的自己観を反映していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内容的には予想以上の結果が得られた。しかし、研究代表者の異動に伴う手続きに時間がとられ、当初計画したエフォートを研究に割けなかったため進捗が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
この研究により完成した日本人医師によるCLCFを用いて、 1.医師以外の医療専門職の視点と医師の視点の異同を明らかにする 2.リーダーに必要な資質と能力とフォロワーに必要な資質と能力の異同を明らかにする を目的に、対象を医師以外の医療専門職まで広げて調査を行う。研究代表者の所属する地方以外も含めた国内調査を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
年度末に、英語論文作成のために日本語で得た結果を英訳し、そのバックトランスレーションを専門家に依頼したところ、請求額が残額の30,000円を超えた。次年度予算から一括して支払うことにしたため、残額がそのまま次年度使用額になった。
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