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2023 年度 実施状況報告書

受動喫煙による鼻腔におけるムチン産生の変化と肺炎球菌宿主間伝播への影響の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K09653
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

志賀 達也  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80890863)

研究分担者 河野 正充  和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (20511570)
村上 大地  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (30794218)
金子 富美恵  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (40328414)
研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2026-03-31
キーワード受動喫煙 / ムチン / MUC16 / pilus-1
研究実績の概要

受動喫煙対策には行政施策のみならず、国民への禁煙の重要性の啓蒙と、受動喫煙による健康への影響のさらなる解明とそれを防ぐための予防医学的戦略が重要とされる。受動喫煙の身体への影響については、感染症発症前段階である保菌と伝播への影響に関しては未解明な点が多く、解明すべき新たな課題である。本研究課題は、「受動喫煙により鼻粘膜防御機構に影響することで、肺炎球菌の獲得性、保菌、伝播が変化する分子生物学的・免疫学的機序を明らかにし、病原微生物伝播抑制に基づく新規感染症発症予防の基盤的知見を得ること」を目的としている。 実験動物としてMUC16KOマウスと野生型(WT)マウスを用いた。生後4日齢~7日齢にかけて前処置としてタバコ煙抽出液(CSE)点鼻群とPBS点鼻群を作成した。8日齢に肺炎球菌6A株を経鼻感染させた。感染2日後に鼻腔洗浄液を採取し、鼻腔中の肺炎球菌数を評価した。MUC16KOマウス、WTマウスいずれにおいてもCSE点鼻群でPBS点鼻群と比較して肺炎球菌数が少ない傾向を認めた。またPBS点鼻群において、MUC16KOマウスがWTマウスと比較して有意に肺炎球菌数が多いという結果が得られた。続いてMUC16KOマウスについて同様にCSEもしくはPBSいずれかの点鼻処置を行い、ケージの半数に肺炎球菌を経鼻感染し、非感染のマウスに伝播が成立しているかを観察した。CSE点鼻群はPBS点鼻群に対して有意に伝播率が低いという結果が得られた。本研究により、受動喫煙による粘液過分泌が肺炎球菌の保菌と伝播に及ぼす影響を明らかにすることで、新規予防戦略の確立へ応用させることが期待できると考える。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現段階でKOマウスを用いた実験に着手できており、実験計画に対しておおむね順調に進行している。

今後の研究の推進方策

肺炎球菌pilus-1野生型ならびに遺伝子欠損株における保菌、伝播の違いを評価する。マウス鼻腔病理組織において、肺炎球菌莢膜に対する免疫組織化学染色とムチンに対するAlcian blue染色の二重染色により、ムチンへの肺炎球菌凝集を評価する。鼻腔洗浄液中の、pilus-1に対する分泌型IgAをELISAにより確認する。pilus-1特異的IgAを含む鼻汁を肺炎球菌とともに共培養し分泌型IgA結合肺炎球菌を作製し、保菌、伝播、肺炎球菌凝集の変化を評価する。ムチンによる肺炎球菌凝集にpilus-1に対する分泌型IgAの相互作用が関与することを明らかにする。

次年度使用額が生じた理由

現時点では鼻腔感染における肺炎球菌の動態に関する実験系を主に進めており、実験に直接かかる必要経費が予定よりも少ない状態である。今後サイトカイン動態の評価や組織学的評価などを行う上でフローサイトメトリや免疫染色に関する試薬等の必要経費が増加する予定である。

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公開日: 2024-12-25  

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