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2023 年度 実施状況報告書

長期サーベイランスに基づく呼吸器ウイルスの分子進化と地域流行への影響

研究課題

研究課題/領域番号 23K09666
研究機関山形大学

研究代表者

松嵜 葉子  山形大学, 医学部, 准教授 (00292417)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワード呼吸器ウイルス / インフルエンザ / 抗原変異
研究実績の概要

インフルエンザウイルスとパラインフルエンザウイルスについて、令和5年度の研究で次のような実績を得た。
COVID-19が、2020年以前にみられた各ウイルスの周期性に、どのような変化を及ぼしたか解析した。毎年6月をピークに流行していたパラインフルエンザウイルス3型は、2021年に流行が回復したものの、2020年と2022年の流行が無く、2023年もごく少数の検出にとどまった。2021年の流行は呼吸器ウイルスの中でも早い回復であり、感染する年齢層が被るRSウイルスと同時期に流行が始まったこともあり、RSと同様に家族内感染が強く疑われた。しかし、その後の流行パターンはRSウイルスとは異なっており、ウイルスの伝播のしかたに違いがあることが示唆された。C型インフルエンザは1年おきの偶数年の流行だったが、2022年までの検出はなく、2023年に大きな流行になった。2024年の検出が今のところないため、奇数年の流行に変わった可能性がある。C型の増殖速度や進化速度はA型B型に比べて遅いため、コロナ禍からの回復は遅れると予測していたが、B型よりも1年も早く、A型H3と同時に流行が始まったのは驚きであった。感染者の年齢分布の解析や分離ウイルスの抗原解析を今後行う予定である。
重複感染例を収集する過程で、B型インフルエンザの山形系統とビクトリア系統に同時に感染した小児例に遭遇した。2016年に2つの系統が同時流行した際の症例で、体内で遺伝子再集合を起こしたかどうかの解析を行った。その結果、様々な種類の再集合体が産生されていることが判明した。B型インフルエンザの分子進化や流行に及ぼす遺伝子再集合の意義を明らかにする重要な知見を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和5年度は、パラインフルエンザの流行が小規模で解析対象が少なかった一方で、C型インフルエンザの流行があり、抗原解析や遺伝子解析に向けてウイルスを増やす作業を行うことができた。また、重複感染に関連して、B型インフルエンザウイルスの遺伝子再集合をヒトではじめて明らかにすることが出来た。

今後の研究の推進方策

パラインフルエンザウイルスについては、COVID-19以前の検出株について、代表株を選択して遺伝子解析を実施する。
C型インフルエンザについては、2023年の分離株すべての抗原解析と分子系統樹解析を行う予定である。
B型インフルエンザでは、保有しているエスケープ変異株の中和エピトープの同定に着手する。同定された中和エピトープについて、今年度は手始めにデータベースから流行株の情報を入手して、アミノ酸変異が実際に起きているかどうか解析を行う。

次年度使用額が生じた理由

解析対象株が少なかったため、予定よりも物品の購入が少なかった。遺伝子解析の解析料の支払いが次年度に繰り越されたこともある。繰り越した額は、令和6年度実施予定の研究に使用する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Epidemiologic, clinical, and genetic characteristics of influenza C virus infections among outpatients and inpatients in Sendai, Japan from 2006 to 20202023

    • 著者名/発表者名
      Matsuzaki Yoko、Ohmiya Suguru、Ota Reiko、Kitai Yuki、Watanabe Oshi、Kitaoka Setsuko、Kumaki Satoru、Onuma Ryoichi、Watanabe Yohei、Nagai Yukio、Kadowaki Yoko、Shimotai Yoshitaka、Nishimura Hidekazu
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Virology

      巻: 162 ページ: 105429

    • DOI

      10.1016/j.jcv.2023.105429

    • 査読あり

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公開日: 2024-12-25  

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