研究実績の概要 |
加齢により、膵臓のインスリン分泌能は低下することが知られている。また、加齢に伴い食後血糖値が上昇することも知られている。1,5-アンヒドログルシトール(1,5-AG)は糖アルコールの一つで、臨床で血糖コントロールの指標として測定されている。最近、1,5-AGが加齢・老化に関わる代謝物の一つではないかと議論されているが、体内での1,5-AGの役割に関する報告は少なく、未だ不明な点が多い。本研究では、糖代謝における1,5-AGの影響を中心に検討する。その中で、消化管・膵臓を検討する対象臓器の中心に位置づけ、また加齢との関連を念頭に置き検討する。 2023年度では、消化管での1,5-AGの影響の有無を検討するため、マウスの摘出小腸を用いた反転腸管実験にて、1,5-AGの吸収様式および1,5-AGとD-グルコースの吸収における関係を検討した。本実験により、基本となるD-グルコースと1,5-AGの吸収を確認した。実験精度も十分に上がっており、小腸を分割し各部位別の吸収の違いについても検討し、1,5-AGの吸収部位の特徴についての情報が得られた。 血中1,5-AGを高濃度に維持した持続皮下投与モデル動物(マウス)における血糖およびインスリン値の変化を再度確認し、確証を得た。臓器ごとの検討に移行し、解析を継続中である。外分泌評価実験として、以前から実施しているオルガンバス実験と平行して、腺房細胞分離手法を膵臓に応用し、マウスの単離外分泌細胞にて分泌実験を行った。カルバコールによる外分泌誘導をポジティブコントロールとして実験手法の安定化を行い、条件検討を重ね当初より概ね改善出来ている。
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