研究課題/領域番号 |
23K12104
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研究機関 | 国文学研究資料館 |
研究代表者 |
松永 瑠成 国文学研究資料館, 研究部, 特任助教 (20974637)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 貸本屋 / 貸本文化 / 出版文化 / 貸本屋旧蔵書 / 書籍流通 / 書籍受容 / 蔵書 / 読書 |
研究実績の概要 |
本年度は、大阪府立中之島図書館・宮城県図書館等で貸本屋旧蔵書の調査をおこない、それぞれの書誌情報や貸本印、貼付された摺物のデータの作成を進めた。また、調査で得られたデータを補完すべく、市場に流出した貸本屋旧蔵書のほか、貸本文化関連の資料の収集にも努めた。そして、一連の調査および資料収集で得られたデータや知見をもとに、論文を公刊したほか、口頭発表をおこなった。 論文「赤本屋としての初代大川屋錠吉」(『日本文学研究ジャーナル』26号、古典ライブラリー、2023年6月30日)では、大川屋書店を創業した初代大川屋錠吉の赤本屋としての出版活動に加え、書籍流通網の実態を論じた。大川屋については、拙稿「黎明期の初代大川屋錠吉」(『文学・語学』230号、全国大学国語国文学会、2020年12月)ですでに取り上げ、その黎明期から貸本問屋として歩み始めるまでの過程を明らかにしている。しかしながら、いくつかの課題が残されていた。本年度公刊した論文では、そうした課題を解き明かしただけでなく、近代日本における貸本向け書籍の流通の一端をも明らかにすることができた。 口頭発表「近代日本における貸本文化の諸相」(第163回「書物・出版と社会変容」研究会、2023年12月2日)では、調査・収集した貸本屋旧蔵書から、個々の貸本屋の蔵書内容や営業の実態を浮かび上がらせるとともに、幕末から明治・大正期に至るまでの貸本文化の変遷を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定どおりに調査および収集活動を実施することができているため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き大学図書館や公共図書館が所蔵する貸本屋旧蔵書の調査をおこなうとともに、市場に流出した貸本屋旧蔵書をはじめとする貸本文化関連の資料の収集を進める。加えて、調査・収集で得られたデータのとりまとめをおこない、口頭発表や論文といった研究成果へと繋げていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していた一部の調査を実施することができなかったため。次年度使用額により、本年度実施することができなかった調査を次年度に実施予定である。
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