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2023 年度 実施状況報告書

「かわいい」イメージと結びつく音声・音韻的特徴の実験的探究

研究課題

研究課題/領域番号 23K12180
研究機関関西大学

研究代表者

熊谷 学而  関西大学, 文学部, 准教授 (40793849)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2027-03-31
キーワードかわいい / 音象徴 / 音声学 / 音韻論 / 日本語
研究実績の概要

本研究は「かわいい」イメージと結びつく音声・音韻的特徴(子音・母音・音節構造やアクセントを含む)について、音象徴の観点から探究することを目的とする。音象徴は言語学・心理学・認知科学の分野において、精力的に研究されているテーマの1つであるが、音声学的に動機付けが困難なイメージに関する音象徴の研究はあまりされてこなかった。しかし、行動科学や感性工学において「かわいい」という感情/感性を引き起こす要因が明らかになりつつある。従って、言語学(音声学・音韻論)の観点からも「かわいい」イメージに着目した実証的研究をすることは価値がある。
本年度は「かわいい」イメージと結びつく子音の特徴の研究を行った。具体的には、女性アイドルのニックネームを収集し、ニックネームの接尾辞「ちゃん」の変異形の種類について、音象徴の観点から検証した。その結果、変異形選択において、「かわいい」イメージと結びつく音韻素性である両唇音、無声音、共鳴音のいずれか1つ以上を有する変異形が、女性アイドルのニックネームに好ましいことがわかった。この結果は、Kumagai (2022)で検証した実験結果と一致する。
また、上記の観察を基に構築した仮説を検証するために、新しい接尾辞の変異形を用いた実験も実施した。その結果、その仮説を支持する結果を得た。これらは、国内学会で2回に分けて発表した。現在、論文は執筆中である。
これらの研究で得た結果は、接尾辞「ちゃん」の変異形選択において、音象徴的な効果が働いていることを示唆している。実際に、過去の研究(Kumagai 2019)では、音象徴が新しいニックネームのパタンを作ることが指摘されており、今回の研究によってこのような分析の妥当性を確認することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

「かわいい」イメージと結びつく音声・音韻的特徴について、母音や音節構造に関する予備的実験はすでに実施しているが、データの解釈に時間を要しているため。また、他言語との比較検証の準備がまだできていないため。

今後の研究の推進方策

今後は、母音や音節構造に関する予備的実験を踏まえて、新しい実験を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度は、「かわいい」イメージと結びつく母音や音節構造に関する予備的実験は実施したが、データの解釈に時間を要しているため、成果発表まで至らなかった。次年度は、これらのデータをまとめて、学会発表や論文投稿を行う予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 音韻・形態構造およびアクセントの音象徴:赤ちゃん用オムツの名前を題材とした事例研究2023

    • 著者名/発表者名
      熊谷学而・川原繁人
    • 雑誌名

      音声研究

      巻: 27 ページ: 64-72

    • DOI

      10.24467/onseikenkyu.26.3_97

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 女性アイドルのニックネームにおける接尾辞「ちゃん」のバリエーションに関する音象徴的分析2023

    • 著者名/発表者名
      熊谷学而
    • 学会等名
      第167回日本言語学会全国大会
  • [学会発表] ニックネームの接尾辞において「かわいい」音韻素性はいくつ必要か?2023

    • 著者名/発表者名
      熊谷学而
    • 学会等名
      第166回日本言語学会全国大会

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公開日: 2024-12-25  

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