研究課題/領域番号 |
23K12197
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
吉岡 真由美 京都府立大学, 文学部, 講師 (40882395)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 国学 / 平田篤胤 / 万葉仮名 / 神代文字 / 用字法 / 表記体 |
研究実績の概要 |
平田篤胤の万葉仮名研究の全体像を明らかにする第一歩として、2023年度は篤胤が万葉仮名をどう定義し,神代文字やひらがな・カタカナとの関係のなかでどのように位置づけていたか明らかにすることを目的として、篤胤が自身の文字・表記観を述べた「古史徴開題記」を精読した。その結果明らかにしたことは、①神代文字の実存を主張し、神代文字とひらがなの連続性を説くことに主眼がある篤胤の学説において、万葉仮名は両者をつなぐ役割しか担わず、文字・表記史上におけるその重要性は低くみられていること、②宣長以来、文字の用法を体系的に整理する用字法研究において「仮字(一音節音仮名)」は別格の位置づけを与えられてきたが、篤胤の学説ではその役割が矮小化し、特権性が薄れていること、③神代文字があったと想定することで「日本語が書けなかった時代」がなくなり、文字・表記史の一方向性の展開を描けるようになったこと、④文字・表記史を描くなかで、文体史と表記史とは異なるものとして理解されており、現代でいうところの「表記体」に相当する概念が生まれていること、である。篤胤の学説は、その動機こそ現代の学術的な水準から肯定しがたいものの、研究の視座や方向性にはみるべきものがある。国学における伝統的な日本語研究の視座や方法の転換点として注目に値するのみならず、従来の日本語学史においてまったく顧みられてこなかった学説にも目を配る必要性を示唆するものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度の途中で代表者の所属機関が変更になり、研究の環境が変わったものの大きな遅れはなく、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、予定通り近世後期に活躍した篤胤以外の国学者(伴信友『仮字本末』など)の文字・表記観や万葉仮名の扱い方について考察する。各書の文字・表記観や万葉仮名の扱い方と篤胤のそれを対照し,共通点・相違点を指摘することで、篤胤以前と以後で万葉仮名に対する認識がどのように変化したか明らかにしようと試みる。これに加えて、当初の予定にはなかった、篤胤周辺とハングル研究の関係を新たに考察対象に加えたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
代表者の所属が変更したことに伴い予定通り予算を使用することが難しい時期があったこと、所属先が九州から近畿に変更になったことで旅費が抑えられたこと、が原因で次年度使用額が発生した。本研究の主な予算の使用先は書籍の購入である。当初から予定していた書籍の購入に加え、2023年度に購入できなかった書籍や、2024年度新たに着手しようとする近世のハングル研究関係の書籍の購入に次年度使用額をあて、計画的に使用したい。
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