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2023 年度 実施状況報告書

RNA化学修飾操作技術を用いた脳エピトランスクリプトミクス制御の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K13857
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

朝光 世煌  国立研究開発法人理化学研究所, 生命医科学研究センター, 研究員 (70849091)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワードRNA化学修飾 / 核酸高次構造 / 中枢神経系
研究実績の概要

RNAの化学修飾は約150種類あると言われており、トランスクリプトミクスとプロテオミクスの橋渡しをする新たな遺伝子発現制御層「エピトランスクリプトミクス」として近年生命科学分野で注目を浴びている。しかしながら中枢神経系におけるエピトランスクリプトミクス制御の役割に関しては、適用可能な分子ツールが未発達であるため未開拓な部分が多い。本研究課題では、RNA化学修飾を制御可能な分子ツールを神経細胞に実装することで、非コードゲノム領域から転写されるRNAの化学修飾が神経機能に与える影響の一端の解明を目指す。
本年度は、RNAの化学修飾の内、中枢神経系における解析が比較的進んでいるアデニン6位のメチル化(m6A)に着目し、m6Aの成体マウス脳における脳領域特異的な分布を次世代シーケンシング技術を用いて網羅解析した。ここでは、免疫沈降を行う前に、RNAサンプルに固有のバーコード配列を付与しそれらをプールすることによって、一度に複数のサンプル由来のRNAを同時にアッセイする方法を応用した。これにより、脳の細かい領域間のm6Aの分布や量を正確に定量することができると考えた。結果的に、この手法を用いることで、海馬領域と前頭前皮質領域において、m6Aの全体量と位置の違いを定量的に観測することに成功した。来年度は、この評価モデル系を用いることで、神経細胞においてm6A修飾を制御することができる技術の開発へと展開させる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題では、メッセンジャーRNAに豊富に存在するアデニン6位のメチル化 (m6A) が中枢神経系に与える分子メカニズムに着目し、m6Aを制御することで新たな分子神経科学的機能を発見・探究することを目的としている。本年度では、その予備検討として、m6Aを定量的かつ網羅的に検出可能な技術であるm6A-Seq2を駆使することで、マウス脳の脳領域特異的なm6Aプロファイリングに成功した。この解析手法を基盤とし来年度に実施予定であるm6Aを制御する技術の構築が可能となった。以上の研究進捗を踏まえ、おおむね順調に進展していると評定した。

今後の研究の推進方策

今年度は、m6Aの分布を定量的かつ網羅的に解析する技術を成体マウス脳を用いた解析に応用することに成功した。来年度はこの解析系を用いて、m6A修飾を制御する分子ツールの開発へと展開していく。

次年度使用額が生じた理由

前年度に予定していた一部の実験を今年度に繰越したため。これらの実験は、今年度に実施する他の実験と並行して行うことでより安定的かる再現性のあるデータを取得可能なためそのような決断をした。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] A cyclic pyrrole-imidazole polyamide reduces pathogenic RNA in CAG/CTG triplet repeat neurological disease models2023

    • 著者名/発表者名
      Ikenoshita Susumu、Matsuo Kazuya、Yabuki Yasushi、Kawakubo Kosuke、Asamitsu Sefan、Hori Karin、Usuki Shingo、Hirose Yuki、Bando Toshikazu、Araki Kimi、Ueda Mitsuharu、Sugiyama Hiroshi、Shioda Norifumi
    • 雑誌名

      Journal of Clinical Investigation

      巻: 133 ページ: e164792

    • DOI

      10.1172/JCI164792

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Structural polymorphism of the nucleic acids in pentanucleotide repeats associated with CANVAS2023

    • 著者名/発表者名
      Kudo Kenta、Hori Karin、Asamitsu Sefan、Maeda Kohei、Aida Yukari、Hokimoto Mei、Matsuo Kazuya、Yabuki Yasushi、Shioda Norifumi
    • 雑誌名

      Journal of Biological Chemistry

      巻: 300 ページ: 107138

    • DOI

      10.1101/2023.08.17.553768

    • 査読あり
  • [学会発表] Elucidating the role of genomic G-quadruplex structure in neurons2023

    • 著者名/発表者名
      Sefan Asamitsu, Kohei Maeda, Shingo Usuki, Norifumi Shioda
    • 学会等名
      The 46th Annual Meeting of the Molecular Biology Society of Japan
  • [学会発表] RNA G-quadruplex regulates neuronal function through the functional formation of stress granules2023

    • 著者名/発表者名
      Sefan Asamitsu
    • 学会等名
      FIBER Webinar Universe in Nucleic Acids Chemistry ☆Rising Stars
    • 招待講演

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公開日: 2024-12-25  

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