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2023 年度 実施状況報告書

培養能を喪失したカンピロバクターは食中毒の原因となるのか

研究課題

研究課題/領域番号 23K14079
研究機関岐阜大学

研究代表者

岡田 彩加  岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (70784221)

研究期間 (年度) 2023-04-01 – 2025-03-31
キーワード食中毒 / カンピロバクター / 生きているが培養できない / 病原性
研究実績の概要

近年の細菌による食中毒の原因として最も多くを占めるカンピロバクターは環境ストレスにより、生きているが寒天培地で分離・培養できない(Viable but not culturable: VBNC)状態となる。本研究では、近年新たに発表されたカンピロバクター食中毒モデルマウスを用いて、VBNC菌による食中毒発生リスクを検証することを目的とした。Campylobacter jejuni投与2週間前から亜鉛欠乏食を与え、投与4日~1日前まで、複数の抗生物質を飲水で投与して作成したカンピロバクター食中毒モデルマウス(C57BL/6、3週齢、雄)を用いて検証を行った。培養可能菌または実験室内で好気、低温条件で誘導したVBNC菌をモデルマウスに経口投与した。培養可能菌投与では、培養およびリアルタイムPCR法の両方において糞便中の菌の増殖を認め、投与後7日目に最も高い菌数となった。これより、培養可能菌はマウス腸管に定着し増殖できることが示唆された。一方、VBNC菌投与では菌の増殖が認められず、マウス腸管内に定着できない可能性が示唆された。糞の状態異常、体重の変化、顕著な炎症を示す腸管の組織像、C. jejuni投与によるLCN-2およびMPO発現量の上昇は培養可能菌においても認められなかった。以上より、マウス腸管において培養可能菌は定着できる一方、VBNC菌は定着できず病原性をもたない可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実施予定であったモデルマウスへを用いた感染実験を実施できたことから、予定通り進捗していると判断した。

今後の研究の推進方策

培養可能菌投与において、参考文献で認められた症状が認められなかったため、抗生物質の投与期間などを延長して再検討を行う必要があると考えられる。一方、腸管への定着が認められなかったことから、VBNC状態のC.jejuniは食中毒を起こさない可能性もあり、今後はヒト腸管上皮培養細胞を用いた検証も含めて検証を進める予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (3件)

  • [学会発表] 生きているが培養できない状態のCampylobacter jejuniの病原性の評価2023

    • 著者名/発表者名
      土田瑞季、猪島康雄、岡田彩加
    • 学会等名
      第166回日本獣医学会学術集会
  • [学会発表] Campylobacter jejuniの生きているが培養できない状態における食中毒発生リスクの評価2023

    • 著者名/発表者名
      土田瑞季、平田暁大、猪島康雄、岡田彩加
    • 学会等名
      第44回日本食品微生物学会学術総会
  • [学会発表] 生きているが培養できないVBNC状態のCampylobacter jejuniのマウスにおける病原性2023

    • 著者名/発表者名
      土田 瑞季、猪島 康雄、岡田 彩加
    • 学会等名
      令和5年度中部地区獣医師大会 獣医学術中部地区学会

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公開日: 2024-12-25  

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