研究課題/領域番号 |
23K14917
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
兵藤 良太 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80831388)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 4D flow MRI / liver regeneration / 経皮経肝門脈塞栓術(PTPE) / 進行胆道癌 |
研究実績の概要 |
年間で、門脈領域の4D Flow MRIの57症例を収集し解析を行った。具体的には消化器外科とともに門脈塞栓術前後の症例や胆道癌術後症例、移植外科とともに生体肝移植ドナーやレシピエント、消化器内科とともに肝硬変・門脈血栓・カテーテル介入前後の症例を収集した。 このうち、胆道癌術前の門脈塞栓術に関しては、その前後の血流変化と残存予定肝実質の体積増大の関連を解析し、門脈右枝塞栓術前と塞栓3-4日後の門脈左枝の流量の変化が、その後の肝体積増大の予測に役立つことを示し、これを論文化した。この論文内では4D Flow MRIからWall shear Stress(血流の血管壁への摩擦を示す値)を算出しており、その塞栓術前後の変化を検討している。このWall Shear Stressはいままで基礎研究において肝再生カスケードのトリガーになると報告されてきたがin vivoでは評価不可能であった。まだ空間分解能が低いものの、本研究ではこのWall Shear Stressの値を門脈領域においてin vivoで初めて報告した。 また、門脈血栓がある症例とない症例を集めて、多変量解析で評価したところ、門脈血栓の存在している症例は4D Flow MRIから得られる血流ベクトル由来血流パラメーターであるRelative Residence Timeが有意に高く、また血小板数が有意に低いという結果を得た。このRelative Residence Timeは血流ベクトル由来パラメーターであるWall Shear StressとOscillatory Shear Index(Wall Shear Stressの時間変動を示す)から計算され、血流のよどみを示すとされており、血栓形成のウィルヒョウの3徴の1つを表すと考えられている。これについても論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
症例集積が終了し、すでにRadiology誌(2023;308:e230709)に「Four-dimensional Flow MRI Assessment of Portal Hemodynamics and Hepatic Regeneration after Portal Vein Embolization」という題名で論文が掲載されたため。
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今後の研究の推進方策 |
報告はPTPEにおいても肝右葉の塞栓のみの症例であり、左3区域(肝左葉と前区域)でも同様の結果が出るかどうかの検討、および論文中で提案したPTPE後の肝体積増大の推定式が実際に有用かどうかの評価を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
ファントム実験を行う予定であったが、ソフトウェアの導入が遅れたために2023年度に行えなかったため。2024年度に行う予定である。
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