研究課題/領域番号 |
23K16423
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
猪飼 やす子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 助教 (10862013)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 特発性肺線維症 / 間質性肺疾患 / コミュニケーション / 対話 / 緩和ケア / 尊厳 |
研究実績の概要 |
1.医療現場における特発性肺線維症の病状や予後、生活に関する療養者と医療者とのコミュニケーションに関する文献検討 スコーピング・レビューを行い、10論文を採択した。コミュニケーションの重要性や悪性腫瘍療養者を対象に開発されたコミュニケーション・ツールの使用が提案され、疾患特有のコミュニケーションに関してはよくわかっていなかった。 2.特発性肺線維症療養者との病状や予後、生活に関するコミュニケーションに対する医療者の意識調査の実施 1.の結果からコミュニケーションの構成要素の検討を目的とし、呼吸器疾患看護・慢性呼吸器疾患看護認定看護師、慢性疾患看護専門看護師(サブスペシャリティ:呼吸器)、ならびに呼吸器内科専門医を対象に意識調査を実施した。2024年1月~3月に無記名自記式質問紙調査を依頼し、Webにて回答を求めた。調査内容は、(1)属性、(2)「がんの悪い知らせを伝えられる際の医療者とのコミュニケーションに対する患者の意向に関する質問票(Fujimori, et al., 2007)」70問、(3)自由記載、とし5件法で尋ねた。解析は次年度に実施する。 3.尊厳に着目した看護師育成プログラムの研究成果の学会発表、「特発性肺線維症で療養されている方々の尊厳に着目したケア(ディグニティ・センタード・ケア)」のコンテンツおよび療養サポートブックの公開 尊厳に着目した看護師育成プログラムの研究成果4演題の学会発表を行い、結果から療養者とのコミュニケーションに必要な要素を検討することができた。また、聖路加国際大学が運営する”市民と看護職をつなぐコミュニティサイト・看護ネット”に研究活動のコンテンツを提供し、療養サポートブック(療養者用・看護師用)をPDFで公開、ダウンロード可とした。加えて、間質性肺炎におけるアドバンス・ケア・プランニングの重要性をテーマとした教育講演の総説を執筆し公開された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、尊厳に着目した看護(ディグニティ・センタード・ケア)の研究活動に関するコンテンツを提供し、療養サポートブック日本語版(療養者用および看護師用)を世間一般に公開することができた。また、医療現場における特発性肺線維症の病状や予後に関する患者と医療者とのコミュニケーションに関する文献検討を実施し、この結果をもとに、呼吸器疾患看護・慢性呼吸器疾患看護認定看護師、慢性疾患看護専門看護師(サブスペシャリティ:呼吸器)、ならびに呼吸器内科専門医を対象に、特発性肺線維症の病状や予後、生活に関するコミュニケーションに対する医療者の意識調査を実施することができた。以上により、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、特発性肺線維症療養者との病状や予後、生活に関するコミュニケーションに対する医療者の意識調査の調査結果の解析、ならびに特発性肺線維症の病状や予後、生活に関する医療者とのコミュニケーションに対する患者の意向調査を計画している。また、医療現場における特発性肺線維症の病状や予後に関する患者と医療者とのコミュニケーションに関する文献検討の研究成果、ならびに特発性肺線維症療養者との病状や予後、生活に関する医療者とのコミュニケーションに対する患者の意向調査の研究プロトコルについて、学会発表を予定している。 尊厳に着目した看護師育成プログラムの評価研究の結果に基づき、教材コンテンツの改訂作業と公開方法の検討を進めていく。特発性肺線維症をもつ生活者の尊厳に着目した看護師育成プログラムの研究成果については、論文を執筆し投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
英文校正費用、および論文掲載費用については、一部執行にとどまった。事務作業をすべて自己にて行ったため、人件費が発生しなかった。研究実施の打ち合わせにかかる旅費、謝金などについては次年度に執行予定であるが、交通費については、所属の変更により、予算額より費用を要することが見込まれる。
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備考 |
特発性肺線維症(間質性肺炎)で療養されている方々の生活の質の向上を目指す”尊厳に着目したケア(ディグニティ・センタード・ケア)”
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