研究課題
本研究では、過酸化ラジカルHO2の無機粒子(硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸アモンニウム)と海水粒子への取り込み係数の測定及び取り込む速度定数の決定を行った。それぞれの無機粒子には、銅2価と鉄2価の2種類の金属イオンを添加し、粒子の取り込み係数を測定した。さらに、銅と鉄の添加による取り込み速度定数を実験手法に基づいて初めて比較した。その結果、鉄を添加した場合、銅よりも2桁遅い速度で取り込まれることが分かった。また、二つの島から採取した実海水粒子の取り込み係数はそれぞれ0.12および0.24でした。これらの結果は、申請者が執筆し、Environmental Science: Atmospheres誌にカバーペーパーとして発表した。今後は、実際の大気環境での取り込み速度を予測するための公式を定義できるように進んでいきたいと考える。
2: おおむね順調に進展している
当初は取り込みの湿度依存性を検討する予定でしたが、実験から湿度の影響は粒子の化学成分に依存していることがわかった。そのため、まず粒子の化学成分による取り込みの影響を解明することに焦点を当てた。初年度には、遷移金属イオンの影響を解明した。
ラジカルの取り込み過程は多相反応であり、多くの要因に影響される。今後は、湿度だけでなく、化学成分、pH、および他の要因についても研究し、それらの結果を公式化できるような成果を目指している。最終的な目標は、広範なモデルにこれらの情報を組み込み、実際の大気中でのラジカル濃度及びオゾンの生成について予測することである。
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件) 学会・シンポジウム開催 (1件)
Environmental Science: Atmospheres
巻: 3 ページ: 1384~1395
10.1039/D3EA00093A
Atmospheric Environment
巻: 309 ページ: 119889~119889
10.1016/j.atmosenv.2023.119889
大気環境学会誌
巻: 58 ページ: 1~9
10.11298/taiki.58.1