研究課題/領域番号 |
23K17032
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研究機関 | 秋田県立大学 |
研究代表者 |
田中 草太 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (50847217)
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研究期間 (年度) |
2023-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | ミミズ / 放射性セシウム / 土壌団粒 / 存在形態 |
研究実績の概要 |
研究初年度となる令和5年度は、8-9月に計4回の現地調査を実施し、複数地点からミミズおよび土壌をサンプリングした。採取した土壌の放射性セシウム(RCs)濃度を定量し、実験に最適なサンプルおよび採集地点を選定した。選定した試料を用いて、ミミズが土壌表層のRCsの動態に与える影響を評価する実験系を構築した。本実験系では、放射線感光性のフィルムを用いたオートラジオグラフィの手法を用いることで、ミミズが土壌表層のRCsの移動に与える影響を可視化することに成功した。この実験系を用いたミミズの培養実験により、培養2週間の短期では、ミミズによる土壌表層のRCsの移動は認められないことを明らかにした。また、実験系に改良を加え、ミミズを長期飼育可能として評価したところ、培養49日後にRCsの一部が下方に移動することが確認された。本研究の結果から、ミミズは長期的には土壌表層のRCsを下方に移動させる能力があることが示唆された。今年度得られた研究成果は、学会発表として公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミミズによる土壌表層の放射性セシウムの移動を評価する実験系を構築し、ミミズによる土壌表層の放射性セシウムの移動の可視化に成功した。また、次年度予定している存在形態を評価する実験系構築に取り組めたことからも概ね順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた結果から、ミミズは土壌表層の放射性セシウム(RCs)を下方移動させることが明らかとなった。この移動を定量評価するため、実験系に充填された土壌を高さごとに採取し、ゲルマニウム半導体検出器により、層別にRCs濃度を定量する。また、ミミズのフン団粒内のRCsの存在形態が経時的に変化するのかを検証するため、フン団粒の培養実験を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会等がオンライン開催のものが多く、予定していた旅費が抑えられため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は、学会等参加旅費および分析費等に充てる予定である。
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