研究課題/領域番号 |
23K17574
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
石垣 綾 東京理科大学, 創域理工学部経営システム工学科, 教授 (50328564)
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研究分担者 |
斎藤 文 東京都市大学, デザイン・データ科学部, 教授 (00218835)
滝 聖子 千葉工業大学, 社会システム科学部, 教授 (50433181)
藤田 恵理 東京女子大学, 現代教養学部, 講師 (50466877)
西山 裕之 東京理科大学, 創域理工学部経営システム工学科, 教授 (80328567)
山田 哲男 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (90334581)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | インダストリアルエンジニアリング / オーダーピッキング / インクルーシブデザイン / AI・ロボット等の健康的活用 |
研究実績の概要 |
2023年度は国内・国際学会発表6件、招待講演1件を行った。 (1)作業時の身体的・心理的ストレス、および高齢者・女性のストレスに関して国内外の文献調査を行った上で、本研究が目指している適度なストレスによる物流現場のためのインクルーシブな環境設計について、協力企業からヒヤリング調査・分析を行った。 (2)企業の協力のもと、物流倉庫を模擬した作業場を実験室に再現し、心拍変動を用いてオーダーピッキング作業における作業者の心理的・身体的負担度を推定する方法を開発した。さらに、この結果を用いて心理的・身体的負担度に影響を及ぼす作業要因について分析した。 (3)体力のない高齢者や女性労働者の作業負担を軽減させる方法として、ロボットなどの技術導入が期待されている。そこで、これらが作業者の心理的・身体的負担度を低減させる効果があるかどうかについて、棚搬送ロボットを例に実験を行った。また、組立や分解の作業に関してモーションキャプチャーを用いて作業者の動作の軌跡を可視化した。 (4)本研究ではオーダーピッキング作業時のストレス測定を行うが、ストレスは動作や、光や音などの環境の影響を受けやすいため、まずはデスクワーク時の作業者に対して環境要因を変化させてストレス測定を行った。ここでは、作業時の映像情報とリストバンド型計測装置から得られる生体情報を収集し、機械学習を活用することで作業者の集中度推定を可能にする研究を行った。さらに、簡易脳波計を用いて音楽がストレスに与える影響の分析に関する研究も実施した。 (5)潜在労働力として育児中の女性をターゲットにしていることから、育児中の女性のストレスやワークライフバランスに着目した研究を行った。特に、日米で居住地が異なる日本人母親を対象に育児ストレスに関するアンケート調査を実施し、クラスター分析を行うことによって日米での育児ストレスの違いを分析した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は被験者を限定し、実際の物流現場を模擬した実験室にて予備実験を行った結果、6件の国内外での学会発表に繋がった。2023年度中の採択に至らなかったが、2023年度の成果は複数のジャーナルに論文を投稿中である。 さらに、2024年4月から実際の物流現場を模擬した実験室を研究分担者の所属先に増設しており、解析に必要なデータを取得するための環境が十分に整っている。 以上の理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
以下のテーマに分かれて研究を推進し、その成果は学会や研究論文等を通して国内外、産学官に広く発信する。
(1)物流現場の作業者に対し、引き続き日米など文化や社会の違いや、性差や年齢差などの個人差と心理的・身体的負担度の違いを明らかにするための調査・分析を行う。さらに、これらと協力企業からのヒヤリング調査の結果を用いて、物流現場のインクルーシブデザイン手法を開発する。 (2)ストレスのうち、心理的ストレスはバイアスの影響を受けやすいこと、さらに適度なストレスは心身を活性化するという報告があることから、物流現場での作業に適したストレスのコントロール方法を明らかにする。 (3)物流倉庫の作業をサポートするための様々なロボットが開発されていることから、自動化レベルに応じた人とロボットの協働作業をモデル化・最適化を行う。さらに、物流倉庫の現状に適した自動化レベルを判断する指標を開発し、適切な自動化導入によって作業をサポートすることにより、物流倉庫におけるインクルーシブデザインの促進を図る。
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次年度使用額が生じた理由 |
身体的・心理的ストレスには主観的と客観的なものが存在しており、予備実験を行った結果、ストレス測定に使用するバイタルデータの種類や測定方法の再検討、環境要因の違いなどから被験者が受けるストレスの影響の除去について検討する必要が発生したため。 2023年度は予備実験に留まることになったため、本実験にて使用する予定であった予算を次年度に繰り越した。また、2023年度内に投稿した論文が採択に至らなかったため、予定していた論文投稿費を繰り越した。2024年度は実験規模を大幅に拡大して本実験を行うための準備が整ったため、繰り越した予算を使用して調査・分析を行う。
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