• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2023 年度 実施状況報告書

武道で知的障害児の心を育めるか?:特別支援教育で実践する新たな剣道授業の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23K17597
研究機関高知大学

研究代表者

矢野 宏光  高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (90299363)

研究分担者 松本 秀彦  高知大学, 教育研究部人文社会科学系教育学部門, 教授 (70348093)
鈴木 恵太  岩手大学, 教育学部, 准教授 (50582475)
秋田 裕太  米子工業高等専門学校, 総合工学科, 講師 (70966522)
研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2026-03-31
キーワード特別支援学校 / 剣道 / 武道 / 剣道形プログラム / 知的障害児
研究実績の概要

学習指導要領の改訂により,2021年度から特別支援学校においても武道が完全実施となった。しかし,これまで知的障害児を対象とした「武道の授業モデル」もほとんど存在せず,まして心理的側面に焦点をあてた学術的データなど皆無であった。そのため,著者らは知的障害児の剣道授業の実践に向け,木刀のみを用いた「剣道形プログラム(以下KKP)」を考案し,その実践研究の中で知的障害児の気分や感情が肯定的に変容することを確認した(矢野ら,2023)。だが,客観性とデータ数に乏しく,より多元的にKKPが知的障害児の心理的側面に与える影響を評価する必要性が認知された。そこで本研究では,KKPの施行が知的障害児の気分及び心理的側面に与える影響を検証した。
(1)KKPが研究対象者の気分に与える影響を検討した結果,剣道授業後に「安定度」「活性度」「快適度」が有意に上昇し,授業回後半に向けて気分は肯定的に推移していることが確認された。(2)KKPの特徴を明確化するため,剣道以外の体育種目との比較を実施した結果,授業後に「活性度」「快適度」が上昇することが判明した。また,剣道と水泳においては授業後に有意に安定度が高まることが明らかになった。(3)KKP開始前と終了後での心理的側面の変化を,SDQを用いて分析した結果,この期間における有意な心理的側面の変化は認められなかった。しかしながら,SDQを構成する1領域の「行為」の効果量が肯定的に高くなり,カッとなったり,けんかしたりするような困難な行為の減少が示唆された。(4)KKP前後でのストレス値の変化を分析した結果,剣道授業前のストレス値には個人差が非常に大きいが,剣道授業後には20から30KU/Lの基準値内に安定することが示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の採択が6月30日付で決定し,その後の研究開始となったため,研究結果がまとまるのが年度末になり,慌ただしかったと言えるが,本研究はおおむね計画どおりに終了することができた。

今後の研究の推進方策

これまで,武道授業によって“知的障害児の心がどのように変化するか”というような,心理的側面に焦点をあてた学術的データなど皆無であったため,未だに客観性とデータ数は十分とは言えない。今後もより多元的にKKPが知的障害児の心理的側面に与える影響を評価する必要性がある。そのため,今後の研究においては,KKPの施行が知的障害児の気分及び心理的側面に与える影響を検証すると共に,KKPの特徴をより明確にし,さらなる適用可能性を検討したい。

次年度使用額が生じた理由

本研究に必要な剣道具を発注した際,物品の生産が間に合わず,急遽,他の研究機関から物品をレンタルしたため物品費に残額が生じた。次年度に改めて購入する予定である。
研究の分析結果が纏まるのが年度末になったため,一部の学会発表のエントリーに間に合わなかった。そのため,旅費に残額が生じた。次年度に学会等で公表する予定で進めている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 特別支援教育で実践する剣道授業の取り組み② -木刀のみを用いた剣道形授業(KKP)が知的障害児の気分及び心理的側面に与える影響-2023

    • 著者名/発表者名
      ○矢野 宏光・ 秋田 裕太・松本 秀彦・ 鈴木 恵太・宇川 浩之・山口 洸明・ 栗田 勇気
    • 学会等名
      四国体育・スポーツ学会

URL: 

公開日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi