研究課題/領域番号 |
23K17632
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研究機関 | 尚絅大学 |
研究代表者 |
安村 由希子 尚絅大学, こども教育学部, 准教授 (60528363)
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研究分担者 |
安村 明 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (60723468)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | fNIRS / かなdecoding / 頭頂葉 / 側頭葉 |
研究実績の概要 |
先行研究(Jasinska,2014;Wan,2016) を参考に、fNIRS を使って読字中の脳活動を測定する方法を検討した。刺激には、稲垣 (2021) を基に有意味語と無意味語をそれぞれ 10 個ずつ選んだ。有意味語と無意味語で、全体として特殊音節の数が同じになるように、単語を選定した。10単語を 1 セットにして、それを 5 回繰り返すようにした。単語は各試行でランダムに配置し、1 つの試行ごとに 10 個の単語を読ませるようにした。まず有意味語の試行から、次に無意味語の試行を5セット行うようにした。各単語の呈示時間は 2 秒で、単語と単語の間の休憩時間(ISI)は 1 秒とした(1 セットの試行は 30 秒)。被験者が読み終わったかどうかに関わらず、時間が来ると自動的に次の単語を表示するようにした。また、各試行の前後には、レストタイムを設けた(画面中央に十字マークを提示)。単語はモニターで提示され、被験者から約 30 センチ離れた場所に配置した。fNIRS は OEG-17APD-01-01-02、Type3x4W(スぺクトラテック社)を使用し、読字に関連するとされる左前頭葉、左頭頂葉、下後頭葉を中心に測定した。これらのプロトコルに沿って、4 人の成人を対象にパイロットスタディを行った。単語は 1 つずつ画面に提示され、被験者にはそれを声に出して読んでもらった。 その結果、左前頭葉と左頭頂葉の活性化が見られ、関 (2009) の先行研究を支持した。 左前頭葉にはブローカ野があり、音読に関連する領域であるため、発話に関わる部位が賦活したものと考えられる。 また、左頭頂葉は文字を音に変換する「decoding」部分に関連する領域があるため、今回の活性化は被験者が音読=decoding活動を行ったことを示している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Jasinska(2014)やWan(2016)などの先行研究を参考に、これらの研究で示された方法や結果を活用することで、研究の方向性や方法論が明確になったため。 また、刺激の選定と実験プロトコルの構築し、成人を対象としたパイロットスタディがスタートしたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は 15 人の成人を対象に実験を行い、fNIRS を使って読字中の脳活動を計測し、行動記録も取り、読みの正誤と脳活動の関係を調べる。 また、事前にレーベン色彩マトリックス検査を行い、認知能力を確認する。 また、定型発達児と読み書き障害児を対象に、読字中の脳活動を測定する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
①必要な機材や器具の維持管理を確保すると同時に、必要に応じて新しい機材の導入やアップグレードを検討する。②実験に参加する被験者に対する報酬のために使用し、適切な金額や形式で支給する。被験者の募集や管理に関する経費も含める。③実験データの解析や処理に必要なソフトウェアやツールの購入や更新を行う。④研究チームのメンバーが必要なスキルを身につけるためのトレーニングや教育プログラムにも予算を割り当てる予定である。 ⑤実験室や施設の環境維持や改善に必要な経費を計画する。
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