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2023 年度 実施状況報告書

がん細胞特異的なオルガネラ栄養センサーの探索

研究課題

研究課題/領域番号 23K18234
研究機関東京大学

研究代表者

大澤 毅  東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (50567592)

研究期間 (年度) 2023-06-30 – 2025-03-31
キーワードがん / 代謝 / オルガネラ / アミノ酸 / 栄養センサー
研究実績の概要

本研究は、がん細胞の生存や幹細胞性維持に重要な、がん細胞特異的な新規栄養センサーの探索と制御を目的とし以下の項目を検討した。オルガネラ形態を指標としたgRNAスクリーニング系の樹立と標的遺伝子の同定: 本研究項目では、(1)CRISPRを用いた gRNAライブラリーをHeLa細胞、及びPanc1細胞にレンチウイルス導入し、正常なゴルジ体構造とゴルジ体崩壊した細胞をイメージングサイトメトリーを用いて分取する系を樹立した。既に申請者らは、イメージングサイトメトリーを用いて、微小管形成阻害剤(ノコダゾール)処理した細胞をゴルジ体崩壊細胞の教師データとして機械学習を行い、95%以上の確率でゴルジ体崩壊細胞を採取することに成功した。さらに、補完実験として、(2)超解像顕微鏡下で扱える細胞採取装置で、ゴルジ体形態を指標に超解像顕微鏡下で細胞選択的にマニュアル採取することが出来た。今後、採取した細胞からgRNAの配列情報をPCRで増幅し、さらに次世代シークエンサーで検出することで、ゴルジ体形態を指標にして栄養応答性を維持する標的因子を同定いたいと考えてる。さらに、ゴルジ体アンカータンパク質群からアミノ酸栄養特異的にゴルジ体を崩壊・再集合させるタンパク質を同定しており、この因子に関して分子生物学的な実験で詳細なメカニズムを解明する。 本研究成果は、新規がん治療法の開発やアミノ酸代謝異常疾患の病態解明や治療法への応用が期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでの研究で、(1)CRISPRを用いた gRNAライブラリーをHeLa細胞、及びPanc1細胞にレンチウイルス導入し、正常なゴルジ体構造とゴルジ体崩壊した細胞をイメージングサイトメトリーを用いて分取する系を樹立し、イメージングサイトメトリーを用いて、ゴルジ体崩壊細胞の教師データとして機械学習を行い、95%以上の確率でゴルジ体崩壊細胞を採取することに成功した。さらに、(2)超解像顕微鏡下で扱える細胞採取装置で、ゴルジ体形態を指標に超解像顕微鏡下で細胞選択的にマニュアル採取することが出来たことから、今後、採取した細胞からgRNAの配列情報をPCRで増幅し、さらに次世代シークエンサーで検出することで、ゴルジ体形態を指標にして栄養応答性を維持する標的因子を同定し詳細なメカニズムの解明につながることが期待できる。また、上述のように既に、栄養応答性を維持する標的因子を一部見出していることからこのタンパク質に関して解析を行うことが期待できるなど、当初の研究計画どおりおおむね順調に進展している

今後の研究の推進方策

今後の研究の推進の方策として、上述の(1)栄養応答性を維持する標的因子の詳細なメカニズムの解明する研究は継続しつつ、さらに、(2)がん特異的なオルガネラ栄養センサーの分子メカニズムの解明: 本研究項目では、研究項目1で同定した様々な標的因子群を、網羅的な遺伝子発現解析やリン酸化プロテオーム解析と統合し、標的因子の絞り込みを行う。既に申請者は、網羅的な遺伝子発現解析からグルタミン依存的に、ゴルジ体のアンカリングタンパク質GM130を介して、ゴルジ体が再構成される可能性を見出していることから、その詳細な分子機構を解明する。また、がん細胞特異的なリボソームー小胞体ーゴルジ体に渡るグルタミンオミクス変動も見出しており、グルタミン特異的なオルガネラ間の代謝連関機構を明らかにする。オルガネラ間の形態変化を超解像ライブイメージングと多階層のオミクス統合解析を融合することにより、従来にない進行がん特異的な新たな栄養感知オルガネラ間代謝連関を解明する。本研究よりがん悪性化を促進する新規栄養センサーの同定とその制御が可能となり、腫瘍微小環境で悪性化するがん細胞を攻略する画期的ながん治療法の開発に繋がることが考えられる。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2023 その他

すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 7件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Acidic Extracellular pH Drives Accumulation of N1-Acetylspermidine and Recruitment of Pro-Tumor Neutrophils2023

    • 著者名/発表者名
      Kato M, Maeda K, Nakahara R, Hirose H, Kondo A, Aki S, Sugaya M, Hibino S, Nishida M, Hasegawa M, Morita H, Ando R, Tsuchida R, Yoshida M, Kodama T, Yanai H, Shimamura T and Osawa T
    • 雑誌名

      PNAS Nexus

      巻: 10 ページ: 1093

    • DOI

      10.1093/pnasnexus/pgad306.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Hypoxia Activates SREBP2 through Golgi Disassembly in Bone Marrow-Derived Cells for Tumorigenesis2023

    • 著者名/発表者名
      Nakahara R, Aki S, Sugaya M, Hirose H, Kato M, Maeda K, Sakamoto DM, Kojima Y, Nishida M, Ando R, Muramatsu M, Pan M, Tsuchida R, Matsumura Y, Yanai H, Takano T, Yao R, Sando S, Shibuya M, Sakai J, Kodama T, Kidoya H, Shimamura T, and Osawa T
    • 雑誌名

      EMBO J

      巻: 10 ページ: 15252

    • DOI

      10.15252/embj.2023114032.

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Tumor cell derived spermidine is an oncometabolite that suppresses TCR clustering for intratumoral CD8+ T cell activation2023

    • 著者名/発表者名
      Hibino S, Eto S, Hangai S, Endo K, Ashitani S, Sugaya M, Osawa T, Soga T, Taniguchi T and Yanai H
    • 雑誌名

      PNAS

      巻: 120 (24) ページ: e2305245120

    • DOI

      10.1073/pnas.2305245120

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Convergent Genomic Diversity and Novel BCAA Metabolism in Intrahepatic Cholangiocarcinoma2023

    • 著者名/発表者名
      Kitagawa A, Osawa T et al. and Mimori K
    • 雑誌名

      Br. J. Cancer

      巻: 128 ページ: 22068

    • DOI

      10.1038/s41416-023-02256-4

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Cancer Metabolism within the Tumor Microenvironments2023

    • 著者名/発表者名
      Aki S, Nakahara R, Maeda K, Osawa T
    • 雑誌名

      BBA

      巻: 1867 ページ: 130330

    • DOI

      10.1016/j.bbagen.2023.130330.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Metabolic adaptations of cancer in extreme tumormicroenvironments2023

    • 著者名/発表者名
      Nakahara R, Maeda K, Aki S, Osawa T
    • 雑誌名

      Cancer Science

      巻: 11 ページ: 1200-1207

    • DOI

      10.1111/cas.15722.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] NRF3 activates mTORC1 arginine-dependently for cancer cell viability2023

    • 著者名/発表者名
      7.Hirose S, Waku T, Tani M, Masuda H, Endo K, Ashitani S, Aketa I, Ktano H, Nakada S, Wada A, Hatanaka A, Osawa T, Soga T, Kobayashi A
    • 雑誌名

      iScience

      巻: 26 ページ: 106045

    • DOI

      10.1016/j.isci.2023.106045

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 高深度オミクスから迫るがん悪性化機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      大澤毅
    • 学会等名
      第8回理論免疫学ワークショップ
    • 招待講演
  • [学会発表] 高深度ニュートリオミクスから迫るがん悪性化機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      大澤毅
    • 学会等名
      計算疾患システム生物学シンポジウム
    • 招待講演
  • [学会発表] 高深度ニュートリオミクスから迫るがん悪性化機構の解明2023

    • 著者名/発表者名
      大澤毅
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 招待講演
  • [図書] マルチオミクス研究のすすめ ~ マルチオミクス データ駆動時代の疾患研究2023

    • 著者名/発表者名
      大澤 毅
    • 総ページ数
      222
    • 出版者
      羊土社
  • [備考] 大澤研究室

    • URL

      https://www.onc.rcast.u-tokyo.ac.jp/ja/

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公開日: 2024-12-25  

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