研究課題/領域番号 |
23K18396
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
都築 慎也 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 国際感染症センター, 応用疫学研究室医長 (60634912)
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研究期間 (年度) |
2023-06-30 – 2026-03-31
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キーワード | 薬剤耐性 / 抗菌薬使用量 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、以下の仮説を検証することで抗菌薬使用量と薬剤耐性率との関連性を再評価することを目標としている。1.抗菌薬使用量の減少は薬剤耐性率の改善に貢献しない。2.抗菌薬使用量の減少は薬剤耐性率を改善させるものの、効果が現れるまでに相応の時間を要する。3.内服抗菌薬ではなく、注射抗菌薬の使用量を減少させることが薬剤耐性率の改善と関連する。4.高齢化の影響により薬剤耐性菌による感染症の有病率が増加し、抗菌薬使用量減少による薬剤耐性率の改善効果が観察されにくくなっている。 本研究課題開始以前に実施された複数の研究では、抗菌薬使用量の減少が薬剤耐性率の改善に(論文執筆時点では)貢献しなかったことが報告されているが、これは上の仮説で1.と2.のどちらに当てはまるかを評価することが難しい。2020年から2022年まで、日本の抗菌薬使用量はおそらくCOVID-19パンデミックの影響を受けて減少したが、同期間の主な細菌の薬剤耐性率に明らかな改善は見られなかった。これに2023年以降のデータを追加することで、仮説1.と2.のどちらが現実を説明するのにより適切であるかを検証可能になると期待される。 また、2023年の集計結果では抗菌薬使用量の再増加が見られたため、時系列での評価が難しくなった。これも2023年以降の主要細菌における薬剤耐性率のデータを加えることで仮説1.2.の検証に繋がると考えられる。仮説3.についてはここ数年日本の注射抗菌薬消費量がほぼ横ばいであったため評価が難しい。 付随的な研究成果として、季節性インフルエンザワクチンの接種を促進することで抗菌薬使用量を抑制できる可能性が示唆されたため、成果を原著論文として報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では、以下の仮説を検証することで抗菌薬使用量と薬剤耐性率との関連性を再評価することを目標としている。1.抗菌薬使用量の減少は薬剤耐性率の改善に貢献しない。2.抗菌薬使用量の減少は薬剤耐性率を改善させるものの、効果が現れるまでに相応の時間を要する。3.内服抗菌薬ではなく、注射抗菌薬の使用量を減少させることが薬剤耐性率の改善と関連する。4.高齢化の影響により薬剤耐性菌による感染症の有病率が増加し、抗菌薬使用量減少による薬剤耐性率の改善効果が観察されにくくなっている。 2020年から2022年まで、日本の抗菌薬使用量はおそらくCOVID-19パンデミックの影響を受けて減少したが、2023年の集計結果では抗菌薬使用量の再増加が見られたため、時系列での評価が難しくなった。仮説3.についてはここ数年日本の注射抗菌薬消費量がほぼ横ばいであったため評価が難しい。2023年以降の抗菌薬使用量データ、主要細菌における薬剤耐性率のデータを加えることで仮説の検証に繋がると考えられるが、初年度に関しては現実のデータが当初予定していた解析を行うには困難なものであった。
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今後の研究の推進方策 |
日本の抗菌薬使用量が予想通りの推移を辿らないことは当初の研究計画でも想定されており、他国の抗菌薬使用量データや文献レビューを通じて抗菌薬使用量と薬剤耐性率の関連性を検討する。IQVIAから諸外国の抗菌薬使用量データを購入することを検討しており、今年度はそれを用いた解析を行う予定である。 また、経時的なデータの蓄積により検証される仮説もあるため、引き続き時系列解析は実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
人件費として予算を計上していたが、想定していた統計解析の技能を持つ応募者がなく、予定通りの雇用を行えなかった。 データ購入を検討していたが、高額なため2024年度以降の購入を検討することとし結果として当初の使用計画と乖離が生じた。
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